2015年10月17日土曜日

【中国】反日活動が再燃…大閲兵式で加速するファシズム化

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デイリーニュースオンライン 2015.10.16 07:00 コメント
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 軍事パレードの深刻な影響とは!?(C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。今年9月3日、中国の北京で抗日戦争勝利70周年を記念して、「大閲兵式」と呼ばれる大規模な軍事パレードが開催され、1カ月あまりの月日が経ちました。この日以降、中国における国民の意識に大きな変化が生じているので、今回はそれについて書きたいと思います。

 この閲兵式の前から、中国においては、連日、テレビ番組を始めとするマスコミにおいて、軍事の特集が組まれました。そのため、大陸弾道能力があるミサイル「東風41」、空母に搭載可能な戦闘機「殲15」など、人民解放軍の所有する兵器に対し、多くの中国国民が軍事マニア並みの知識を持つに至りました。

 そして今回の大閲兵式は国民に「強い中国」を印象付けるという目的がありました。行進する軍隊や兵器群は諸外国に脅威を与えるのに充分で、一般の中国人ですら、これはやりすぎなのではないかと思ったほどです。中国在住の母親から僕に対し、「中国人という理由で、日本で批判されていないか?」と心配そうな連絡がありました。

国内の意見は真っ二つに

 こうした国力の強大さを誇示して国民たちの支持を得ようとする前時代的なやり方に対して、国内では意見が二分されました。まずは、それを揶揄する「真っ当な感覚を持つ中国人」たちです。インターネット上には「時代遅れ」、「独裁国家そのもの」などといった書き込みが行われ、動画サイトには大学生によって作成された、赤いパンツを中国国旗に見立てて敬礼するという愛国活動を皮肉った画像が投稿されました。

 その一方で、閲兵式に感化され愛国心を高揚させた中国国民もまた多く存在していたのです。式の前日から、中国国内のインターネット上のBBSやSNSでは、自分のアイコンを顔写真などから中国国旗に変更する人が続出しました。

 当初、僕は、これはBBSやSNSの管理者が行っているのかと思っていたのですが、どうやらそういうわけではなく、ネット上で「中国国旗に変更しよう!」という呼びかけが行われた結果のようです。

 また当日、国内では大閲兵式に出席した習近平国家主席を真似たイベントも行われました。河北省の大学においては、乗用車に乗り演説を行う習主席を校長先生が演じ、周囲の生徒たちが歓声を送るという疑似体験が行われました。これは茶化しているわけではなく、大真面目に祝っていたようです。

 そして中国では9月下旬ごろに中秋の名月を鑑賞しながら月餅を食べる「中秋節」という伝統の行事がありますが、その際に販売されたお菓子に「中国共産党に従え!」という意味合いの文字が刻み込まれるなど、愛国思想は伝統行事にさえ浸透しました。

こうした愛国思想の高まりは、同時に反日感情も高めました。世界中の国旗が掲揚されているショッピングモールで、日本国旗だけが通常は故人を追悼する時に使用される「半旗」の状態で掲げられたり、飲食店では、野菜をミサイルのような形に彫った「抗日核ミサイル」や、脳みそのような形の豆腐「日本鬼子脳みそ炸裂」などと物騒な名前がつけられたメニューが販売されている様子がSNSにアップされるなど、大閲兵式をきっかけにして中国各地で露骨な反日活動が行われました。

 現在の中国ではこういった一連の流れを「愛国的」と賞賛する層と、「中共から洗脳されている」などと否定する層が対立し、ネット上では互いに激しい論議を繰り広げています。

 強大な軍事力を見せつけることによる愛国心の鼓舞、対立国という「共通の敵」への批判をうながして国民たちの団結力を高めようとする中国政府の手法は、第二次世界大戦中のナチス・ドイツや、かつて中国を侵略した大日本帝国など独裁的軍事国家が行った「ファシズム」(全体主義)と呼ばれる思想とそっくりです。

 かつて中国は共産主義をとなえファシズム国家と戦いましたが、皮肉にも現在の中国こそがファシズム化しているのです。大閲覧式に参加し歓声を上げる中国国民の姿は、まるでアドルフ・ヒトラーの演説を聞いて歓喜するかつてのドイツ国民のようでした。

 ファシズム国家は「祖国防衛」、「世界平和」などを大義名分として戦争を行いました。そして現在の中国においても「防衛」、「平和」を名目として着々と軍備拡大、他国への侵略行為を進めています。

 先日、日本で可決された安保改正法案ですが、いまだに反対し廃案を訴える人々は大勢います。ですが彼らが「話し合いで問題が解決できる」という中国こそが、前時代的な思想を持つ国家であり、日本とは比較にならないレベルの軍事国家であることは認識しておく必要があるでしょう。

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