2016年春、花見のために日本を訪れた中国人による「中国式花見」が一部で問題視され、中国国内では「中国式花見」という言葉が頻繁に見聞きされるようになった。日本人が桜を愛でるように花見を行うのに対し、中国式花見は「木によじ登る」、「枝を引っ張る」、「花を散らせる」などの行為が伴うことを揶揄(やゆ)している。

 桜を愛する日本人にとって、「中国式花見」は非常識な行為だが、一部の中国人にとっては中国式に花見を楽しむ方法であり、道徳感覚の欠如を表す行為だとは感じないのだろう。カメが自分の歩みの遅さに気づかないのと同じだといえるかもしれない。

 中国メディアの基督時報はこのほど、中国式花見は中国人の大きな欠点の1つである「道徳感覚の欠如」を示していると論じる記事を掲載した。

 記事は中国人を風刺する漫画を紹介。その漫画には飛行機がものすごい速さで飛んでいる様子が描かれており、飛行機の機体には「経済水準」と記されている。一方、地上にはカメがゆっくり前進している様子が描かれており、その甲羅には「道徳の質」と記されている。中国人の道徳が経済水準の発展に比べて、成長していないことを揶揄するものだ。

 また中国人は道徳感覚の欠如だけでなく、法律を順守する概念も欠けていると指摘し、「これはとても恐ろしいことだ」と指摘。こうした中国人の欠点は旅行先の国に迷惑をかけるだけでなく、中国国内においても食品安全などの問題が生じる原因になっていると論じている。

 法律の概念と道徳感覚との間には共通する要素が存在する。どちらも社会に秩序を生み出す要素であると同時に、個人の身勝手な利益よりも社会や他人の利益を優先するよう人を抑制する要素であることだ。中国式花見や食品の安全問題が頻発する今の中国からは孔子を輩出した偉大さを感じ取ることはできない。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)