2016年4月4日月曜日

パスワード無しでWi-Fi利用? ユーザーがカフェの中にいるか、窓の外にいるかまで判断できる技術


カフェや隣人のWi-Fiをこっそり使っちゃうなんてことも、できなくなるかも...。
MITのエンジニアが開発した新しい技術、Wi-Fiに接続しているユーザーがどこにいるか特定できるようです。誤差は数十cmの範囲内ということで、ここまで正確ならもしかしてWi-Fiのパスワードもいらなくなるかも、なんて話まで出ているようです。
Chronos」と呼ばれるこの技術、MITコンピュータ科学・人工知能研究所の技術者チームによって作られました。ChronosはWi-Fiの信号の「飛行時間」から、ルーターとデバイスの距離を計算するとのこと。
ルーターの近くにいるユーザーはすぐに信号が届くし、遠くにいるユーザーにはもっと時間がかかると、なるほど単純な話です。
Chronosは異なる周波数のチャンネルの間を行き来することで、それぞれの周波数帯域がデバイスに到達するまでにどれだけ時間をかけているかを計算します。その情報を元にルーターからの距離が推測されると。
もちろん実際の開発はもっともっと複雑で困難な点もたくさんあったようです。例えばWi-Fiって物に当って跳ね返りながら移動するんですよね。なので移動時間が必ずしも実際の距離とイコールじゃなかったりするわけです。技術者チームは特別なアルゴリズムを作り、いくつもの検知された結果の中から最短の移動時間を選び出すことでこれを克服したそうです。
既存のWi-Fiによる位置把握システムよりも20倍も正確であると発表していますが、これによってどのようなことが可能になるのでしょうか? 
MITの技術者さんたちも色々な応用法を検討したようですよ。例えばアパートやカフェでのWi-Fiを使って、ユーザーの位置を特定するテストを試みたそうです。その結果、数十センチの誤差で位置が特定できたとのこと。ユーザーがカフェの内にいるのか、窓のすぐ外にいるのか、97%の正確性で特定できたというから感心です。
アメリカではカフェの提供するWi-Fiはすごく簡単に接続できたりします。Wi-Fiを使うためだけにカフェの外側に立ってネットサーフィンしている人を結構見かけるんですよね...。
また同じ技術を使ってドローンとパイロットの間で一定の距離を保つことにも成功したそうです。パイロットから1.4m離れた位置にドローンを留まらせることができたとのこと。誤差はなんと数cm以内だったそうです。
ここまで正確なのであれば、カフェなどお客さんにだけWi-Fiを提供したい所ではパスワードを無くすこともできるとチームは考えているようです。ユーザーが指定された空間にいるかどうかをルーターが探知して、アクセスを承認する。そんなシステムが実用化されるかもしれません。
それだけでなく、特定のサービスを受信しているユーザーが家の中にいるか、外に出ているかルーターが判断することもできますね。

家の中に何人の人がいて、どこにいるかに応じて 暖房や冷房を常に調整してくれるシステムを想像してみてください。

と開発者の1人であるDina Katabiさんは語っています。
Wi-Fi使って場所をトラッキングされるぅぅ!怖いぃ!という声が一瞬頭の中で聞こえてきましたが、そもそもカフェのWi-Fiを使って重要な情報をやり取りなんてしないですね。
Wi-Fiパスワードだけでなく、モノのインターネットにも活用できそうです。
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文
(塚本 紺)

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