2016年7月14日木曜日

末期がんを完治!? 副作用ゼロの治療法

2016年07月14日


 厚生労働省によると、2014年にがんで亡くなった人の数は36万8103人で、死亡総数の28.9%を占め、がんは日本人の死因のトップとなっている。
 長期の入院、抗がん剤による強い副作用など、治療そのものも患者にとっては大変な負担となる。

 入院をせず、投薬のみで、しかも体のいろいろな場所に転移した末期がんすら治療できるとしたら――そんな夢のような治療を研究し、実際に成果も上げている、北青山Dクリニックの阿保義久(あぼ・よしひさ)院長に話を聞いた。

がん細胞を「普通の細胞と同じにしてしまう」

「今まで、がんの治療のためにできることは、大きく2つでした。1つは『切る』、手術でがんそのものを切除する方法です。これはとても優れた方法ですが、手術ができるのはがんが初期のまだ転移していないときのみで、がんが1カ所にとどまらず周りや全身に波及してしまっていたら、手術で取り切ることはできません。

 また、患者さんには体力的に大きな負担がかかります。『自分の体にメスを入れるのは絶対に嫌』という方も時にいらっしゃいます。
 手術による治療ができないときにしばしば選択されるのが『抗がん剤による治療』です。抗がん剤は転移したがんの治療として効果はありますが、髪の毛が抜けるほか、強い副作用に苦しむことになるなど、その治療を行うことによって生活の質が著しく低下するというマイナス面が避けられません。

 がん治療として免疫治療は新たに期待される治療法ですが、副作用や治療効果の限界もあり、『がん治療の切り札』はないのが現状です。

 そして、以上の治療は、『がんを敵と捉えて、がん細胞を消去するもしくは殺してしまう』という考え方に基づいています。

 私が行っているのは、それらの治療法とは一線を画するものです。簡単に言いますと、『がん細胞を殺そうとするものではなく、その悪い性質を取り除くことにより、がん細胞を普通の細胞と同じにしてしまう』というものです。

『DNA』は多くの方がご存じと思いますが、それと対を成すもので『RNA』というものもあります。DNAが人や動物の体の設計図だとすると、RNAは体を作り、体を動かす実行部隊です。

 このRNAを操作し(“RNA干渉”と言います)、がん細胞を制御しようというのが、私が行っている『遺伝子治療』です。
 いろいろなタンパク質のなかで、がん細胞の中にたくさん発生している「CDC6」というタンパクがあります。これががん細胞の悪い性質の原因と言えるので、このたんぱくを消し去ることで、がん細胞の邪悪な振る舞いを止める、というものです。

 がん細胞とは、正常な細胞の遺伝子が突然変異することで発生します。
 この治療は、もっと簡単に言えば『遺伝子の突然変異で発生したがん細胞を、普通の細胞に戻す』ということです。

 遺伝子の突然変異の結果生まれたがん細胞は、普通の細胞とどのように違うのか。細胞というものは分裂して増えていきますが、普通の細胞は必要以上に増えることはありません。本来、人の体は必要ないものをつくることはしないのです。

 また、細胞は『アポトーシス』します。アポトーシスとは細胞にプログラムされた自殺現象のことを言います。自分に役割がないとわかったら、細胞は自然と消滅するのです。これも自然の摂理と言えます。

 しかしがん細胞だけは例外で、無限に増殖していく性質があります。アポトーシスせず、消えることもありません。その結果がんが無制限に大きくなる、ほかの場所に無秩序に転移するなどしていくのです。

治療は投薬だけ。入院も不要で副作用もゼロ

「我々が現在提供している遺伝子治療は、がん細胞の無制限・無秩序に増殖する性質を消し去ることを目指しています。

 今までのがん治療はがんを敵、倒すべきものと考え、勝つための方法でした。この治療法は、がん細胞を普通の細胞に戻す、いわば“がん細胞を更生させる”ように設計されており、倒すことを目指していません。

 がん細胞が、正常細胞と同様におとなしくなって、身体の他の部分に悪影響を与えることなく老化することを目指しています。がん細胞がおとなしくなるだけでなく、自らが不要であることに気付いてアポトーシスして自己消去することもあります。

 なお、『遺伝子治療』というと『遺伝子組み換え』を想像し、それにより怖い印象を受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、この治療は遺伝子組み換えとはまったく異なります。
 遺伝子組み換えは有用な遺伝子を外部から挿入することですが、この治療は遺伝子を送り込むものではありません。がん細胞化という、遺伝子情報に生じている狂いを正常化するだけです。

 どのような治療を行うのかというと、病院で投薬する、それだけです。
 がんの症状に応じて治療薬を1回10~20㏄、初めは1~2週に1回のペースで投与していきます。患部への直接注射や、がんに栄養を送っている血管にカテーテルを挿入して薬を送り込むなど、いろいろな方法で行います。入院の必要はありません。

 患者さんの治療に対する反応を見て、十分な治療効果が得られれば、投薬量を減らす、投薬頻度を減らすなど調整していきます。
 私のクリニックには、遠方から定期的に治療を受けに来られる方もたくさんいらっしゃいます。

 がん治療というと抗がん剤や放射線の治療で見られるような『重篤で生活の質を著しく低下させる副作用』が心配ですが、この遺伝子治療は激しい副作用がありません。
 時に、治療後一時的な発熱が見られる場合がありますが、数十分~数時間で自然と平熱に戻ります」

手の施しようがないがんをほぼ完治!

 この遺伝子治療は、実際にどのような成果を上げているのだろうか。
「もう治療の施しようがないとされている末期がんにも、高い効果を発揮することがあります。
 スキルス胃がんと診断された37歳の男性は、様々な抗がん剤が投与されていましたが効果がなく、むしろ症状が悪化し、腸閉塞を引き起こし入院、食事が全く摂れない、水も飲めない状態になりました。

 頼みとなる治療がもうないという状態で遺伝子治療を開始したところ、治療開始からひと月程度で機能しなくなっていた腸が回復し、排ガス、排便が可能になりました。
 その後食事も摂れるようになり、治療開始から数カ月後には帰宅ができる状態になりました。

 実は、スキルス胃がんは、既存の治療法では治癒を期待できるものがほとんどないのですが、この治療では治癒が可能となるかもしれません。スキルス胃がんに関しては高い治療効果をあげている症例が複数あります。

 乳がんを宣告された当時48歳の女性は、標準治療では乳房の切除しか選択できない状態でしたが、ご本人がそれを断固拒否して遺伝子治療を選ばれました。
 治療開始から5年以上経過し、今も定期的に通院していますが、がんは徐々に縮小し、その後も経過は安定しています。

 59歳の男性は、肺がんと診断されて放射線治療、免疫療法を行いましたがあまりよい反応が出なかったため、この遺伝子治療を始めました。
 すると、3カ月で腫瘍がものすごい勢いで小さくなっていき、7カ月間の治療でほとんど病変が確認できないところまで回復しました。

『がんが完全に治った』と言い切るのには、がんがその活動を止めてから長い期間変わらずに安定していることが確認されなければいけません。
『手術でがん治療に成功するも、3年後に再発した』というようなケースがよくあるように、がんが本当に治ったと言えるには治療後少なくとも5~10年くらいは、無症状で安定している時間が必要です。

 この遺伝子治療を受けた患者さんの中には、末期がんでありながら『がんが完全に治った』と言い切れるケースも確認していますが、一方で『がんと共存する』という状態もあり得ます。『がん細胞は存在しているが身体の他の部分に悪影響を与えずにおとなしくしており、がんを抱えたまま寿命を全うする』、そのようなことも可能になるかもしれません。
北青山Dクリニックの阿保義久(あぼ・よしひさ)院長
 ほかにも、今までの標準治療では手のほどこしようがなかった患者さんの症状が回復した例は数多くあります。

 腸閉塞で絶食管理が避けられなかった方が通常の食事が摂れるようになったほか、病院にかかりきりだったのが海外旅行に行けるようになった、仕事に復帰できるようになったと、喜ばれる患者さんの声を聴くと、この治療を提供できて本当に良かったと感じます」

 高い効果が確認できているがんの遺伝子治療。後半はこの治療の現状や、気になる治療費等についてお聞きした。
 21日に更新予定(急なニュース等により予定は変更される場合があります)。



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 阿保義久(あぼ・よしひさ)
 1965年、青森県生まれ。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部付属病院第一外科勤務。
 その後、虎の門病院で麻酔科として200例以上のメジャー手術の麻酔を担当。94年より三楽病院で胃がん、大腸がん、乳がん、腹部大動脈瘤など、消化器・血管外科医として必要な手術の全てを豊富に経験した。
 97年より東京大学医学部第一外科(腫瘍外科・血管外科)に戻り、大学病院の臨床・研究スタッフとして後輩達を指導。
 2000年に北青山Dクリニックを設立。下肢静脈瘤の日帰り手術他、外科医としてのスキルを生かした質の高い医療サービスの提供に励んでいる。
北青山Dクリニック がん遺伝子治療センター

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