2016年9月17日土曜日

拡大する

謝罪する後藤敏和・県立中央病院長(中央)ら=県庁
謝罪する後藤敏和・県立中央病院長(中央)ら=県庁

 ◆ 県立中央病院 調査委設置へ

 県立中央病院は16日、乳腺疾患の患者2人から採取した検体を取り違え、それぞれに間違った手術をしたと発表した。本来なら切除しない部分を手術したという。取り違えの原因は分かっておらず、今後、外部委員を含めた院内事故調査委員会を設置し検証する。

 県庁で記者会見を開いた後藤敏和院長らは冒頭、「患者さまに多大なご迷惑をおかけし、県民のみなさまには信頼を損なう事態を生じ、誠に申し訳ない」と頭を下げた。

 同院の説明によると、6月下旬の同じ日、県内の80代女性と40代女性の乳腺腫瘍(しゅ・よう)の一部を採取した。だが検体を取り違え、80代女性を転移の可能性が低い葉状腫瘍、40代女性を乳がんと診断し、それぞれ7月下旬と8月上旬に手術。術後に切除した組織を診断したところ、取り違えの可能性が浮上し、遺伝子検査の結果、8月末に取り違えが発覚したという。

 検体は乳腺外科の外来室で医師が採取し、看護師がビンに保管。その後、検査室に搬送されてプレパラートなどにした標本を、病理医が診断する。検体を保存するビンや容器には、患者の名前やバーコードが貼られている。同院は今週初めに関係者を集めて一連の流れを検証したが、どこで取り違えが起きたか判明していないという。

 また病院側は会見で、検体の取り違えにより本来ならば切除しない部分を手術したものの「患部の取り残しはない」と説明した。ただ、切除の範囲などについては「患者の同意が得られていない」として明らかにしていない。院内事故調査委員会の外部委員は、日本病理学会や日本乳癌学会に依頼しているという。(多鹿ちなみ)

0 コメント:

コメントを投稿