2016年10月19日水曜日

ヒトES/iPS 細胞に適した環境を創出するデバイスの開発に成功 -創薬や再 ⽣医療の更なる発展のカギに-


2016年10月19日

     陳勇 物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)教授、亀井謙一郎 同特定准教授らのグループは、ヒトES/iPS細胞(ヒト由来の胚性幹細胞と人工多能性幹細胞)に適した非常に小さな3次元空間を創りだすデバイスの開発に、世界で初めて成功しました。本研究成果は、ヒトES/iPS細胞から機能的な組織を作成する方法の開発につながると期待されます。

     本研究成果は、2016年10月15日午後6時にドイツの科学誌「Advanced Healthcare Materials」(電子版)で公開されました。

    研究者からのコメント

    亀井特定准教授

     本研究成果では、ヒトES/iPS細胞の新しい3次元培養法を実現するマイクロ流体デバイス(微細加工技術を応用して作製したデバイス)の開発に世界で初めて成功しました。このデバイスでは、従来の細胞培養実験では難しかった「細胞外微小環境」を人工的に創出することができます。今後、ヒトES/iPS細胞をはじめとする細胞や組織の機能を制御する機構の解明や、組織工学・再生医療・創薬の発展に貢献することが期待されます。

    概要

     ヒトES/iPS細胞は再生医療や創薬などで活躍する細胞として期待されています。その一方で従来から使用されている2次元(平面)細胞培養では、目的の細胞機能を獲得することは困難でした。これは、ヒトの体の中における細胞を取り巻く3次元的な環境を従来法では作り出せなかったことが原因に挙げられます。

     そこで本研究グループは、半導体分野などで実用化されている微細加工技術を基にした「マイクロ流体デバイス」と、温度に応じて「ゲル」から「液体」、「液体」から「ゲル」へと変化することができるヒドロゲル(ポリマー中に水分子を含有したゲル)に着目し、ヒトES/iPS細胞に適した3次元的な環境を創出することを可能にするマイクロ流体デバイスの開発に成功しました。

     

    図:本研究で開発したマイクロ流体デバイスの概念図とその利点

    マイクロ流体デバイスとヒドロゲルを組み合わせることによって、細胞外微小環境因子を3次元的に厳密制御できるようになる。このデバイスを本研究グループは「3次元細胞環境プレート(3D-CEP)」と名付けた。

    詳しい研究内容について

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