2016年11月22日火曜日

「オプジーボとキイトルーダ」


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オプジーボという新しい薬剤は、
何回も紹介しているとおりです。
一般名は「ニボルマブ」です。

オプジーボはメードインジャパンですが、
海外の製薬会社が、
同系統の薬剤を何種類も開発しています。

そのうちのひとつ、
キイトルーダという商品名の薬剤は、
(一般名:ペムブロリズマブ)
治療経験のない、
しかし治らないことが確定してしまっている、
末期肺がん患者さん約300人を集めて、
シスプラチンをベースにした抗がん剤治療を行った患者群と、
はじめから、キイトルーダ単独で使った患者群とに分けて、
実験が行われ、
結果が今月の欧州臨床腫瘍学会で発表されました。
腫瘍内科医のお気に入り、
ソレしか信用できない、
という、
ランダム化比較試験です。


その結果、
キイトルーダ単独の点滴を行った患者群では、
残忍なシスプラチンベースの抗がん剤治療を行った患者群よりも、
病勢進行までの時間(無増悪生存期間)および、
生存期間中央治値が延びた、

というデータが公表されました。

ただし、がん細胞がPD-L1 という、
ヒトの免疫細胞と結合する分子を持っているがん細胞が、
50%以上含むがんを宿した患者さんだけでの実験結果です。

一方、オプジーボは、
同様の実験で、
効果が無いことが証明されています。
この結果は残念ですが、
ある意味、日本の健康保険を救いました。


一方、キイトルーダは、
日本での承認も近いと思われます。


残忍な副作用を伴う、
シスプラチンやパクリタキセルのような「毒薬」よりも、
副作用は遥かに軽微であることが予想されます。

しかしオプジーボの、
異常なまでの薬価は、
何回も書いているとおりです。

体重60Kgの患者さんが、
1年間使うと3500万円に上ります。


まったく同系統の薬剤ですから、
薬価も大きくは違わないはずです。
ただし、キートルーダの実験治療では、
被験患者さん全員、
体重に関係なく、
200㎎を3週間に1回の点滴でした。


治らない末期肺がんを宿して、
残忍なまでの副作用は、
誰も望まないはずです。

その上、延命効果は、
副作用が遥かに軽微な薬剤のほうが大きい。
となったら、

「インフォームドコンセント」もヘッタくれもなく、
すべての患者さんの希望は一致するはずです。

日本の、健康保険財政は十分に大きな打撃を受けます。

エビデンスだけを、
念仏のように唱える腫瘍内科医は、
如何に対応するのか、
患者目線で、シッカリと確認してください。

毎年、37万人が、
がんで命を落とす現在、
一握りの医療者が、
その運命を握ることが許されるのでしょうか。


日本での健康保険承認は、
当初は、患者数の少ない、
悪性黒色腫だけですが、
30年進んでいる米国では、
肺がんに対して承認されたようですから、
日本でも、肺がんへの承認は時間の問題です。

しかし、元祖日本の製薬会社は、
キートルーダ製造会社に、
「特許権の侵害」を訴えているようです。

がん医療業界は、
患者さんが想像する世界とは、
ずいぶんと違います。



以上 文責 梅澤 充
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