企業が何年もかけて開発している自動運転技術を短期間で開発し、公道テストも実施済みの後付けキットとして早ければ2016年内の発売を計画していたGeorge Hotzが、自動運転キットのソフトウェアをオープンソースとして公開しました。さらにハードウェア部分のComma Neoの設計情報も無償公開しています。

天才ハッカーGeohotzとして名を馳せ、Comma.aiを設立してからは僅かな期間で自称「テスラ並み」の性能を持つ後付け半自動運転キットComma Oneを開発してしまったGeorge Hotzですが、いざ年内の発売が確定的になってきたところでの当局(NHTSA)からの発売延期勧告は、自身の会社で自動運転キットを販売することへの情熱を冷ましてしまったようです。

Hotzは「脅迫的な当局や、弁護士との煩雑なやりとりに時間を取られてしまうぐらいなら、新たな技術を開発したい」としてComma.aiとしての自動運転キット発売をやめると決断しました。

しかし、せっかく作ったものを無駄にしてしまうのももったいない話なので、Hotzはここしばらくの月日をかけて開発した自動運転ソフトウェアのソースコードを公開することにしました。ハッカーには優れた技術を開発しては仲間と共有する、交換と贈与の文化があります。大物ハッカーであるHotzにとって、開発した技術を公開することにはなんの躊躇もなかったのかもしれません。

もちろん自動運転はソースコードだけでなく、ハードウェアもあって成立する技術。HotzはソースとともにハードウェアモジュールComma Neoの設計情報も、GitHubでMITライセンスにて公開しています。

公開された情報によると、Comma.aiの自動運転キットは内部にAndroid端末を備えており、OBD-II経由でアキュラ・ILXとホンダ・シビックを半自動化できるとのこと。動作的には一般的なクルーズコントロールとレーンキープ、前走車との間隔を維持するための自動ブレーキシステムなどを備えます。

自動運転がどのような仕組みで動作していたのかを知りたい開発者にとって、「実働する」自動運転のソースコードを目にする機会はなかなかないはず。Hotzのコードはこれ以上ない教科書・参考書になりそうです。

ちなみに自動車情報サイトRoad Showによると、George HotzはComma.aiとしての自動運転キット発売はやめてしまったものの、Neoモジュールの商品化を希望するアフターマーケットメーカーを探しているとのことです。