2017年2月12日日曜日

チベット仏教僧侶らの焼身自殺抗議 悲しみと怒り、願いは中国へは届かず



2/12(日) 14:30

撮影:高橋邦典

 四川省北部、ほぼ甘粛省との境に位置する町、郎木寺。人口3000人ほどの、村ともいえる小さな町だが、住人の大半はチベット人だ。町には2つの大きなチベット仏教寺院があり、夏場は観光地として中国人観光客や、欧米のバックパッカーたちで賑わいを見せる。寺のひとつ、キルティー寺院は近年、政治的にもその名を知られるようになった。僧侶による抗議の焼身自殺が相次いだためだ。

 夕暮れ時に訪れた境内は、訪れる人もまばらでひっそりとしていた。焼身があった広場を、若い僧侶が足早に通り抜けていく。静まり返ったその場所は平穏で、凄惨な焼身自殺の面影は何も残っていない。

撮影:高橋邦典

 2008年3月、中国の弾圧に対して我慢の限界に達したチベット人僧侶や市民たちが、チベット自治区の首都ラサで抗議のデモに立ち上がった。騒乱は武装警察によって鎮圧されたが、デモは近隣の四川省や甘粛省の町にも飛び火し、多くの死者を出した。

 その後焼身自殺による中国への抗議は頻発し、現在までその数は140人以上。これだけのチベット人たちが命をなげうってまで訴えても、その悲しみと怒り、そして願いは、中国政府に届くことはない。

(2015年10月撮影・高橋邦典)

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