2017年2月23日木曜日

対インド原発輸出メーカー 国「事故賠償の可能性」


 外務省は二十二日の衆院予算委員会分科会で、インドへの原発輸出を可能にする日印原子力協定に関し、輸出した原発が事故を起こした場合、「メーカーへの賠償責任が生じる可能性がある」と明言。インド国内法により日本企業に賠償を求められる可能性があると認めた。その上で、インド政府に国際条約に基づき、インドの電力会社が責任を負うよう働き掛ける方針も示した。賠償責任が曖昧なまま、日本の原発メーカーに輸出を促す安倍政権の姿勢が明らかになった。

 文部科学省によると、原発事故の損害賠償責任は被害者の請求を容易にするため、電力会社が負うことが国際原則で、メーカーに請求が及ぶことはないという。ただ、インドの「原子力損害に関する民事責任法」は事故時、原発メーカーに重大な過失や欠陥があった場合、電力会社が原発メーカーに賠償請求できると規定する。

 その一方で、インドは賠償責任を原則として電力会社に集中させる法整備を加盟各国に求めた「原子力損害補完的補償条約(CSC)」を批准。そのため、インドで事故が発生した場合、原発メーカーと電力会社のどちらが賠償責任を負うのか明確でない。

 インドを担当する外務省南部アジア部は分科会で「インド政府がCSCに適合する形で賠償制度を運用するよう働きかけたい」と述べたが、その通りになる保証はない。質問した自民党の秋本真利氏は「重大な懸念を持つ」と、日本政府の姿勢を批判した。

 安倍政権はインドを有力な原発輸出先と期待し、協定の今国会中の承認を目指している。 (宮尾幹成)

<日印原子力協定> 日本からインドへの原発関連技術や資機材の輸出を可能にする2国間条約。両政府が昨年11月に署名した。両国議会の承認を経て発効する。インドは事実上の核兵器保有国で、日本の原子力協定の相手国のうち唯一、核拡散防止条約(NPT)に加盟していない。「核不拡散の流れに逆行する」との指摘がある。

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