2017年2月26日日曜日

ジョブスも絶賛!?タッチパネル式PC+電話+FAX+プリンター+スキャナーを全部入りのキヤノンの複合機『NAVI』


@DIME

インターネットがまだ無かった1970~80年代。

家庭の娯楽の中心は、「ラジオ」、そして「テレビ」でした。

これらの機器は、技術の進歩に伴い、小型化と複合化が図られ、ついには「ラジオ・テレビ・カセットレコーダー・一体型オーディオ」である「ラテカセ」が発売された件については、前回の記事でも、詳しくご紹介致しました。

その後、コンピューターの世界でも、小型軽量化が図られるようになってきて、個人や企業向けの「パソコン(パーソナル・コンピューター)」が、各社から続々と発表されました。

ちなみに、ビジネスユーザーが「パソコン」を導入する理由としては、せっかく電子機器を新しく購入するのであれば、ワープロ専用機を購入するよりは、1台で「ワープロ」「表計算」を起動させられる物を購入したい、という目的が主となります。

そして、「インターネットがまだ無かった」時代に、お客様との、情報のやり取りを行う手段は、もっぱら「電話」「FAX」でしたから、どうせなら、これらの機能も1台に内蔵したい、プリンター、FAX、ディスプレイをあらたに買いそろえなくても、1台で全てが揃う、そんな都合の良いマシンが無いものだろうか・・・。

当時、そんな事を思った人も多かった事でしょう。

そんな中、ついに「キヤノン株式会社」から、これらの要望を全て叶える複合機が登場いたしました。

それが、タッチパネル式パソコン・電話機・FAXモデム ・プリンター・スキャナー一体型複合機「NAVI」なのです!

「キヤノン」「パーソナルステーションNAVI」は、単なるディスプレイ一体型パソコンではありません。

当時の最先端の技術が集約されていた最新鋭の機器でした。

かの「スティーブ・ジョブズ」氏がその機能を絶賛したという逸品です。

たとえば、「NAVI」の操作系のうち、「戻る」機能については、その後「iPhone(iOS)」に導入されたのではないか、と言われているほどです。

本体価格は約60万円。今だったら、軽自動車くらいは買えるくらいの価値だったようですね。あまりにも高機能だけど、あまりにも高価格すぎて、あんまり売れなかったようです。( ;∀;)

「NAVI」のパソコンのスペックは、CPUがインテルのi80286を搭載。

OSはMS-DOSがベースでありながら、GUI(スマホやパソコンのような、グラフィカルなインタフェース)とマルチタスク(複数のプログラムを切り替えて実行できる)な操作性を実現していました。それぞれの機能は、タッチパネルから起動が可能でした。

また、ワープロや表計算ソフトの入力データは、本体内蔵のプリンターから印刷可能。

プリンターは、通常のコピー用紙が印刷出来るタイプのものと、FAX専用機でお馴染みの「ロール紙」が使えるプリンターの「2基」が用意されていたという凝りようです。


https://nikkan-spa.jp/wp-content/uploads/2015/04/BKR_150324_03-e1428763562306-550x359.jpg

ちなみに「FAXモデム」も内蔵していたので、出力結果を紙に印刷しなくても、直接FAXで相手先に送信する事が可能でした。

もちろん本体のみで、FAXの受信も可能。そのデータを、NAVI内蔵の画像編集ソフトで加工して、そのまま再送信も出来ました。

電話の受話器も、だてに付いていた訳ではありません。内蔵の電話帳ソフトから、直接相手の電話暗号を探してダイヤルして、電話を掛ける事も出来ましたし、留守番機能も有していました。

スケジュール機能は、あらかじめ決められた時間に、録音したデータを再生する事も出来ました。ほかには電卓機能、メモ帳機能も備えており、更にこれらの機能をそれぞれ連携して動かす事が出来た、というのですから、当時としては実に画期的でしたね。

キーボードはなんとワイヤレス!IR方式ですので、いわゆる赤外線です。

筆者は当時、キヤノン販売の「01ショップ(ゼロワンショップ)」の店頭で「NAVI」を触った記憶があるのですが、タッチパネルで機能を切り替える際、PCの処理速度の問題から、操作画面が切り替わるまで、しばらく待ち時間があるのですが、その間、画面の中央に、「人間のキャラクターがモップ掛けをするアニメーション」が出てきたのが、とても印象的でした。

今のパソコンにおける「砂時計」に相当するものなんでしょうが、センス有りますね。

ちなみに、パソコンと電話が一体となった複合機は、その後他社からも発売されました。


http://www.pc-9800.net/db_98/data/img/dterm410pc_l.jpg

NECの「Dterm400/410PC」は、「PC-98LT/PC-9801」「デジタル交換機専用端末」が一体になった複合機端末です。

豊富なソフトウェア資産を誇る「PC-9801」ベースのマシンであれば、98用の、豊富なアプリケーションを利用する事が出来た為、かなり汎用性があったかもしれませんね。本機は流石に、プリンターやFAXスキャナーまでは内蔵する事は出来なかったようです。

実は、日立製作所も電話機とPC一体型の複合機端末を発売していました。


http://museum.ipsj.or.jp/computer/personal/0033.html

「PROSET(プロセット)30」は、オフィスコンピューターに、10型のカラーディスプレイ、プリンタ、FAXモデムを内蔵した一体型端末です。

ワープロや作図用ソフトとして、ジャストシステムの「一太郎」「花子」がインストールされていました。

更に、メール、通話、FAX機能を、マルチタスクで動作させることが出来た優れものです。

コンピューターの仕様は、日立が企業向けに「B16シリーズ」というオフィスコンピューターを出しており、そのアプリケーションを利用する事が可能でした。

このように、なんでもかんでも複数の機能を集約して一体型にしてしまう技術が、その後、あるカテゴリのガジェットに集約されることになります…。そのガジェットとは一体・・・?

「FURUの懐かしガジェット買いたい放題・言いたい放題!」次回はどんなガジェットを「懐かしがろう」かな…?

※記事中の情報は、記事執筆調査時点のものとなります。
※本記事の内容は、あくまでも筆者の調査と主観に基づき、面白可笑しく表現した感想であり、特定メーカーや機種を貶める意図はございません。
※本記事に登場する、漫画のキャラクターはフィクションです。

文/FURU
デジタル系ガジェットに散財する、サラリーマン兼漫画描き兼ライター。
電脳ネタがテーマの漫画を得意とする→http://www.furuyan.com

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