文:SafBaby 編集者:Yayoi

PM2.5などの大気汚染は、若年層(特に女性)の重疾患や死亡などに深刻な影響を与えています。今回は、その汚染の現状と、個人でできる対策を紹介します。

PM2.5とは?史上最も有害な汚染物質の一つに

大気中の直径2.5マイクロメートル(μm)以下の微小粒子は、「PM2.5」として日本でも最近広く知られるようになりました。この粒子は肺を貫通して、血流にまで到達するため、健康上の大きな不安の元となっています。

加えて、PM2.5の粒子は非常に「粘り」があり、不規則的な形をしているため、他の微小有害化学物質が付着しやすいのです。従って、PM2.5に付着した毒素も肺の奥深くまで入り込んだあと、血流に乗って、脳にまで到達する可能性があります。

PM2.5が原因で脳卒中を発症するリスク、それによって死亡に至るリスクは、特に女性の間で高いものとなっています。

アメリカの医学学術誌「Physicians for Social Responsibility」では、PM2.5のリスクについて以下のように記されています。「女性の健康に関するデータによれば、PM2.5の濃度が10μg/m³ 増加するごとに、女性が脳血管疾患を発症するリスクは35%、脳血管疾患が原因で死亡に至るリスクは83%も増加します。」

PM2.5の粒子は全て人間によって生み出されたものです。PM2.5の主な発生源は、石炭工場、ガス燃焼工場、自動車のエンジン、暖房のような、化石燃料の燃焼に由来しています

PM2.5に「安全なレベル」というものは存在しない

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あなたに質問です。他の国からやって来たであろう汚染物質を吸い込んでいませんか?

「大気汚染はいとも簡単に国境を超えます。また、発生源からの距離にも関係ありません。ある国で発生する汚染物質は、風に乗って、別の国々の人々の健康や、生態系の状態に影響を与える可能性があります。」とAerodyne Research IncのCEO、チャールズ・コルブさんは述べています。

実際、中国で発生したPM2.5がアメリカ西海岸にまで到達しているという見解があるのです。

次のNASAの動画を視聴し、大気中の粒子(汚染物質)が移動する様子を確かめてみてください。赤は自然火災、黄色は人為的な燃焼を示しています。季節に応じて汚染のレベルが変化する様子も理解できるでしょう。

PM2.5の大気汚染による健康と生活への悪影響

世界保健機関(WHO)の推定によると、大気汚染物質が原因で、世界では毎年約700万人、中国では毎日4,400人が若い年齢で死亡しています。
米国環境保護庁(EPA)は、大気汚染による健康被害に関して、次のような疾患をあげています。

  • 心臓または肺の疾患
  • 非致死性の心臓発作
  • 不整脈
  • 深刻な喘息
  • 肺機能の低下
  • 気管の炎症、咳、呼吸困難などの呼吸器疾患の増加

2015年、世界保健機関の国際がん研究機関(IARC)は、屋外の大気汚染とそれに含まれる微粒子物質に発がん性があることを結論付ける見解を発表しました。

さらに、「がんの前兆となる遺伝子損傷の増加に大気汚染が関連している」ことも明らかにしました。

なお、報告書では「大気汚染の度合いは地域に応じて極めて異なる可能性があるが、この影響を受けた健康被害は、世界中の全ての地域に当てはまる」という事実を記載しています。

PM2.5のための10の対策

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  1. 車のエアコンには集塵フィルターを必ず使う。
    車を使うのは一見安全に思えますが、渋滞時に屋外の汚染物質が車に取り込まれると、密閉された車内の空気が通常の10倍汚染された状態になる可能性があります。
    集じんフィルターが車のエアコンに搭載されていることを確認してください。
  1. 自宅の環境を整える。
    SafBaby の健康的な建築と屋内環境のエキスパート、マリー・コロダロさんによると、「自宅には屋外環境の50倍の量の汚染物質が含まれる可能性がある」のです。
    でも、自宅の環境であれば屋外よりもキレイに保つことが簡単にできますよね!ご自宅の内部と周囲には、安全で無害な素材や製品だけを使用してください。
  1. 空気清浄機を導入する
    日本ではすでにおなじみの対策ですね。マリーさんもブログで述べていますが、空気清浄機は屋内の空気と健康状態を即時に改善できる優れものです。
  1. 体内の毒素を特定し、排出する
    頭髪、尿、血液、母乳などを検査することで、体内に蓄積された有害物質の量や種類を特定できることを知っていましたか?
    いくつかの毒素に焦点を合わせて、効果的なデトックスプログラムを決められるので、自然療法医、整骨療法医、ホリスティックの専門医に相談すると良いでしょう。

Dr.モーリー・クラークの本「Natural Baby-Healthy Child」(英文のみ)では、妊娠前や乳幼児向けの、解毒法に関する詳しい情報を提供しています。

  1. 抗酸化サプリメントを定期的に服用する。
    例としてはビタミンCなどです。
  1. 買い物をするときは、よく吟味する。
    「すぐ飽きるから」とか「安いから」といった理由で粗悪なおもちゃを大量に買う人がいますが、たいていすぐ壊れるか、まだ使えるのに捨てられる運命にあります。自然や環境を汚すことなく子供が楽しんで育てられる、オーガニックの野菜の種などの贈り物を検討してみてください。長持ちし、生産に要するエネルギーが少ない製品や自然破壊につながらないようなものを選びましょう。
  1. エネルギーをセーブする
    電気のスイッチを切り、家電のプラグを抜くなどして、不要なエネルギーを使わないことです。
  1. 木を植える。
    落ち葉を集め、堆肥にしてください。
  1. オーガニックの食品を購入する。
    地元の市場を活用し、地場産業をサポートするのにもつながります。
  1. 出来るだけ歩くか、自転車や公共交通機関を利用する。
    車の排気を削減できます。

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お住まいの場所の汚染状況をご存知ですか?

インターネットサイトなどで、有害な大気汚染の状態を知ることができます。

そのようなサイトを閲覧・発信することで、アクセス情報がいわゆる「ビッグデータ」となります。行政への大気汚染の原因への対処を促す上でも、このような情報は非常に重要なものになりつつあるのです。