2017年3月1日水曜日

電車から「中吊り広告」が消える? 山手線新型車両でデジタルサイネージ加速、明治以来の光景に幕か

勉強の為に引用しました。


山手線新型車両の車内のイメージ(上)。中づり広告はなくなり、網棚の上に液晶モニターが増設される。中づり広告がある現在の車両(下)とはかなり雰囲気が違う(いずれもJR東日本提供) JR東日本は来年から、山手線で新型車両を運行させる。これまでと大きく変わるのは広告のあり方。紙の広告は廃止して、全て液晶パネルのデジタルサイネージ(電子看板)に置き換える。もちろん頭上をにぎわしていた「中づり広告」もなくなるため、車内のイメージは大きく変わりそう。新型車両は山手線での試験運行後、JRのほかの路線での導入も検討されている。実は明治時代から始まっていた中づり広告。この長い歴史に幕が下りる日も来るのだろうか。(加藤園子)

優先席の周囲は赤色に

 新型車両を導入するのは、2020(平成32)年の東京オリンピック・パラリンピックに伴い、都内を訪れる人が増えることを想定したため。

 車いすや大型スーツケース、ベビーカーを持ち込みやすいようフリースペースを各車両に用意。優先席も増やし、1編成で計60席だったのが88席になる。優先席とフリースペースは、床や壁を赤色にして目立たせる。

 外観も変わる。駅のホームドアの整備を進めるため、イメージカラーの緑色の横のラインは縦のラインに変更。ホームドアが閉まっていると、車体の下半分にある横ラインは隠れてしまうためだ。

液晶で時間ごとに内容変更も

 JR東日本によると、中づり広告をなくすのは車内を広くみせるため。現在、山手線では、各ドアの上に17インチの液晶モニターを設置し、停車駅を表示するほか、企業広告や商品CM、ニュースなどを放映している。

 新型車両では中づり広告や網棚上部の紙の広告を撤廃。ドアの上のほか、網棚の上のスペースなどに20インチの液晶モニターを設置し、広告などを放映する。これで1編成176画面だったモニターは376画面と、倍以上に増設されることになる。

 紙の広告がなくなれば、手作業での入れ替え作業は不要になる。また、JR東の担当者は「例えば通勤時間はサラリーマン向けのCMを流すなど、時間ごとに放映内容を変えることもできる」と話す。テレビCMを流用することもできるので、企業の広告代が削減できるとの期待もある。

 新型車両は来年3月以降から試験走行を始め、同年秋ごろから1編成だけで実際の利用者を乗せて運行する。広告を含め車内の利便性を検証し、効果が確認できれば、今後は山手線の全車両を新型車両に切り替えていく。中央線などほかの線で採用することも視野に入れている。

中づり広告130年の歴史に幕

 中づり広告は、明治18年の馬を動力にした馬車鉄道の車内広告がはしりとされている。昭和35年ごろから中づりの主要広告主になったのは週刊誌。デジタルサイネージが広がりつつある今も、たくさんの見出しを並べた中づり広告で乗客の関心をそそっている。

 この週刊誌の広告について、都内で交通広告を主に手がける代理店の担当者は、「過激な見出しを並べるなど文字表現で広告をつくるには、デジタルサイネージよりも中づりの方が優れているだろう」と指摘する。また「中づり広告はビジネスモデルとして完成されているし、歴史もある。これがなくなるとしたら寂しいし、なくさないでほしいという声もあるようだ」と話す。

 ただ、新型車両が普及したとしても、中づり広告が完全になくなるのはまだしばらく先のことになりそうだ。

 同社によると、私鉄も含め首都圏でデジタルサイネージが採用されている電車は全体の約50%。車内に液晶をつけるとすれば車両の新造に併せることになるが、私鉄が車両を造り替えるのは数十年スパン。すぐに導入できないのが実際のところだという。

 担当者は、「週刊誌の数が減ってきているとはいえ、媒体として中づり広告の需要はまだある。業界内でも『中づりがなくなる時代も来るかもしれないね』という話題にはなるが、『なくなるからどうしよう』というところまでいっていない。デジタルと紙にそれぞれ長所短所があるので、しばらくは両者の棲み分けが続くだろう」とみている。

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