2017年4月6日木曜日

「メイド見殺し」動画投稿 クウェート冷酷雇い主に批判殺到

「メイド見殺し」動画投稿 クウェート冷酷雇い主に批判殺到

東スポWeb
 クウェートの一般家庭で雇われていたエチオピア人メイドが、雇い主の家の窓から落ちる場面を写した映像が最近ネットに投稿され、衝撃を呼んでいる。自殺を図ったメイドは思いとどまって窓枠に片手だけでぶら下がり助けを求めるも、“見殺し”にされ転落。一命は取り留めたが、一部始終を笑って撮り続けたばかりか、SNSに公開した雇い主の女に世界中から怒りの声が上がっている。

 先月投稿されたとみられる動画は、メイドがマンション7階の窓から窓枠に手をかけて中ぶらりん状態の場面から始まる。雇い主のクウェート人女は「狂気じみているわ、戻っていらっしゃい」などと冷笑している。途中でメイドは自殺を思いとどまり「私を抑えて!」と助けを求めても、女は手を差し伸べるどころか、メイドが精根尽き果て落下するまで撮影。さらには動画をおもしろがってSNSに投稿した。

 動画には説明文もつけられている。メイドは、運よく金属製の日よけに落下したため、腕の骨折と鼻血だけで一命は取り留めたものの、冷酷な雇い主女は送検された。

「産油国のクウェートでは、アフリカ系やアジア系の外国人女性が60万人以上もハウスメイドとして働いているが、メイドには労働法が適用されず、ほぼ無給で不眠不休で働かされ、なかにはレイプ被害に遭うこともあり、過酷な環境下に置かれている。逃げれば逃亡罪になり、文字通り死ぬ以外に逃れられないともいわれていた」(現地ジャーナリスト)

 サウジアラビアでは「コーヒーをいれるのに時間がかかりすぎだ!」とフィリピン人のメイドが雇い主から熱湯をかけられ、何時間も放置され重傷を負う事件も起きた。フィリピンの海外雇用庁の発表では「2013年の半年でメイドとして世界に派遣されたフィリピン人600人が行方不明になっている」とのデータもある。

 ひどい場合は、雇用主とメイド間で殺人事件に発展するケースもある。サウジアラビアで、過酷な待遇に耐えかねて雇用主を殺害したインドネシア人メイドが、通告なく斬首刑に処されたことで両国関係が悪化。インドネシアは15年にサウジを含め、21か国・地域へのメイドの派遣禁止を決めるまでに。殺人事件はさすがに極端な例だが、雇い主や中東社会が、メイドを人間として扱っていない実態が世界に知れ渡ったからには、各国とも何らかの対応が必要だろう。

 前出のジャーナリストは「クウェートでは最近、逃げ出したメイドを保護するためのシェルター(避難所)を政府が作ったり、メイドの出身国の大使館が受け入れたりするようになってはきている」と現状を語った。

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