2017年5月22日月曜日

IBMがリモート勤務を辞めてオフィスでの勤務を命じたので社員から反感を買いました。

IBM の「出勤方針」に社員は「怒りを感じている」

Chris Weller
WPA Pool / Getty Images
数十年前から、従業員のリモートワーク(在宅勤務)を認めてきたIBMが、社員にオフィスでの勤務を命じる通達を出した。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、会社の方針転換に応じられない場合、社員は離職を求められるという。
マーケティング部門に務める2600人に加え、人員数が明らかにされていないIT部門、調達部門、そして自己学習プログラムWatson関連部門に所属するIBM社員は今年2月、アトランタ、オースティン、ボストン、ニューヨーク、ローリー(ノースカロライナ州)、そしてサンフランシスコのアメリカ6都市で勤務しなければならないとの通知を受けた。
1995年から2009年にかけて、同社はオフィスの面積を7800万平方フイート(約725万平方メートル)縮小し、1億ドル(約111億円)以上のコストを削減したという。だが、同社は直近の20四半期連続で減収となっている。職場をネットワーク上から現実のオフィスへと移すというIBMの決断は、同社が長く重んじてきた、仕事をする環境を社員に委ねるというポリシーを覆すものだ。
他の企業もIBMの在宅勤務に追随し、リモートワークはホワイトカラー職種にとって、望ましい労働条件と見なされるようになった。現在、アメリカ人の4人に1人がリモートワークで仕事をしている。また、現在リモートワークを利用していない人々のうち、80〜90%がリモートワークでの勤務を望んでいるとのデータもある。IBMの広報担当者はマーケティングチームを、段階的にオフィス勤務へと移行させる決定を下したのは、現場の要望を受けたものだとも説明している。
「現代のマーケティングは、人から人へと仕事が手渡される流れ作業ではない。事業を進める中で発生する変化の影響を瞬時に理解し、リアルタイムで反応を返すというような双方向的な業務だ」と、IBMの広報担当者はBusiness Insiderに語った。
同社の社員もIBMのチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)、ミッチェル・ペルーソ(Michelle Peluso)氏から、これに近いメッセージを社内向け動画で受け取っている。
ペルーソ氏は「顔を合わせて仕事をすることで、チームはさらに強力になり、影響力を持ち、クリエイティブになる。そして楽しんで働くことが出来るようになるとも思っている。人々が集まることで、新しい可能性も生まれるだろう」と説明したと伝えられている。
多くの研究は、リモートワークが従業員と雇用者の双方に、デメリットを上回る利益をもたらすことを指摘している。4000件以上の調査を基に、Global Workplace Analyticsが行った分析によると、遠隔就業には、デメリットに対して2倍ものメリットがあるという。リモートワークを利用する従業員の多くは、幸福度と生産性が高く、離職率も低い。
一方、リモートワークによって、同僚間で嫉妬心が芽生えたり、セキュリティリスク上の問題が高まる可能性も指摘された。また上司が部下への不信感を募らせるケースもあるという。
Global Workplace Analyticsは、リモートワークに適合しない社員の存在についても言及している。社員の中には、自己管理能力に乏しい人材や、個人の技術的な問題でリモートワークが不適当なケースも存在するという。
IBMの広報担当者は、国際的な研究を引き合いに出し「同じオフィス内という小回りのきく環境で働くマーケティングチームは、より効果的に働くことができ、仕事へのやり甲斐もより多く感じられる。事実、マーケティング部門全体でこの体制を敷いたところ、とても良い反応が返ってきている」と話した。
一方ペルーソ氏は従業員に対し、今回の改革が一部の従業員にとって、難しい決断になる可能性についても語ったという。特に、家族連れは「仕事」と「住む場所」を天秤にかけなければならない。匿名を条件に、IBM社員の1人が経済ニュースサイトQuartzに語ったところによると、今回の決定に対する社内の評判は芳しくないという。
同社員は「私の知る限り皆、今回の決定に怒りを覚えている」と語った。
(翻訳:忍足亜輝)

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