2017年6月7日水曜日

作業員1人肺から2万2千ベクレル 国内最悪の内部被曝


ニュースピクスと朝日デジタルより転載しました。

 茨城県大洗町日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで、ウランとプルトニウムが入った保管容器から放射性物質が漏れて作業員5人が被曝(ひばく)した事故で、原子力機構は7日、このうちの1人で50代の男性職員の肺から、2万2千ベクレルプルトニウムが検出されたと発表した。暫定で1年間に1・2シーベルト、50年で12シーベルトの内部被曝をする値で、過去にこれほどの内部被曝をした例は、国内ではないという。原子力機構は「急性の放射線障害が出るほどではない」としている。
 原子力機構によると、残る4人からはプルトニウムは検出されなかったが、この男性を含む3人から最大220ベクレルアメリシウムも検出された。5人は体内に入った放射性物質の排出を促す薬剤を注射する処置を受け、7日午前に千葉県放射線医学総合研究所に搬送された。
 事故が起きたのは、高速炉の新型燃料などを研究開発していた燃料研究棟の分析室。保管状況を調べるため金属容器のフタを開けたところ、中のビニールが破れて放射性物質が飛散した。5人はいずれも口や鼻をマスクで覆っていたが、3人の鼻腔(びくう)内から最大で24ベクレル放射性物質が確認されていた。
 原子力機構によると、この作業でビニールが破れることを想定していなかったため、作業は密封した状態ではなく、一部が開いた作業用の箱の中で行っていた。
 原子力規制委員会の伴信彦委員は7日の定例会で「2万2千ベクレルの検出は半端な状況ではない。命に関わることはないだろうが、軽微なものではない。作業の状況が適切だったか確認する必要がある」と問題視した。
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 被曝医療に詳しい、国際医療福祉大クリニックの鈴木元院長は「2万2千ベクレルは量としては多い。肺に入ったプルトニウムは、1週間から10日かけて化学薬品を霧状にして吸入させたり、点滴したりして排出させる。その後、体内に残っている量を調べて健康への影響のリスクを判断しなければならない」と話す。

吉田 喜彦
なぜだかこのコメントには怒りを感じる。

「命に関わることはないだろうが、軽微なものではない。かなりの内部被曝になることは確実だ」

おそらく水に溶けない不溶性放射性粒子なのだと思う。この粒子はじつは関東など広く飛散していて、いま廃炉作業をするときに、再び舞い上がる再飛散が問題となっている。

一部避難勧告解除がされた地域もあるが、室内などの放射性粒子はとどまったままで除染が行われていない。帰還する住民の皆さんもこのリスクにさらされているわけで、それらを受け止めながら生きていく人たちのことを考えると、どうしても前述の言葉は軽く感じてしまうのだろう。もちろん、良いように切り取られた言葉の可能性はあるが。

それでも、解決の道のりは平坦ではないが、せめてこの難しさだけは共有したいと思った。

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