韓国ゲーム業界が中国製の盗作ゲームとの全面戦争を戦っている。韓国業界大手のネクソンは22日、中国のゲーム業者に著作権を侵害されたとして、上海の裁判所に提訴。業界中堅のブルーホールも近く、中国製パクリゲームに対する訴訟に乗り出す。韓国のモバイルゲーム業界最大手、ネットマーブルゲームズは 中国企業20?30社について、著作権侵害に当たるかどうかを検討している。
 韓国企業が中国の盗作ゲームに対する法的対応に乗り出すのは異例だ。中国の盗作ゲームは、2000年代初めに韓国のゲーム業者が中国市場に進出した当時から存在する問題だ。明らかな盗作ゲームが登場しても、「法的対応を取ったところで得にならない」として放置するのが慣行だった。著作権侵害訴訟は長期間を要する上、現地市場から締め出されかねないことを心配した。しかし、今年に入り、韓国のゲームが北米、欧州、東南アジアなどの輸出先の多角化に成功し、「中国の盗作をこれ以上放置することはできない」という強硬なムードが形成されつつある。
■すぐにパクリゲーム登場
 ネクソンは22日、中国のゲーム販売提携先であるテンセント(騰訊)と共同でパソコン向けオンラインゲーム「アラド戦記」を盗作した中国企業7社を中国の裁判所に提訴する計画であり、一部企業に対する訴状は既に提出したと発表した。ネクソンは「不当な方法で儲けようとする中国の会社の責任を問う」と指摘した。ネクソンが中国の盗作ゲームに対する法的対応に乗り出したのは今回が初めてだ。ネクソンの「アラド戦記」は、中国で年間約8000億ウォン(約800億円)を売り上げる人気のゲームだ。ネクソン関係者は「中国のゲームメーカーのパクリがますます露骨になって、これ以上放置できない」と話した。
 今年3月に発売されたブルーホールのパソコン向けオンラインシューティングゲーム「プレーヤーアンノウンズバトルグラウンド」も中国市場で20種類以上の盗作ゲームが登場している。ブルーホールは最近、中国のテンセントとゲーム販売提携契約を結び、直ちに盗作ゲームに対する法的対応検討に入った。同ゲームは全世界で2000万人のユーザーを獲得するほど大ヒットした。中国の盗作ゲームは「孤島でユーザー数十人のうち一人が生き残るまで戦う」というゲームの基本的なコンセプトはもちろん、キャラクターとグラフィックもそのままパクっているという。ゲーム名も「バトルロイヤル:適者生存」とか「グランドバトルロイヤル」など原作と勘違いするほどだ。
 ネットマーブルは現在、人気ゲーム「ストーンエイジ」を剽窃した盗作ゲーム30種類が中国で発売されつつあるとの情報を得ている。ストーンエイジが中国で2億人のユーザーを確保したことで、地元企業が先を争うように盗作ゲーム開発に乗り出した格好だ。ネットマーブル関係者は「今後盗作ゲームが登場するたびに、法的対応を取る方針だ」と述べた。

■中国市場再攻略を控えた措置
 中国製盗作ゲームに対する韓国メーカーの強硬対応は、来年の中国市場再攻略を控えた事前準備の意味合いが強い。中国政府は今年3月以降、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)をめぐる対立で、韓国の新作ゲームの中国国内でのサービス許可を1件も出していない。しかし、最近、両国の関係改善を受け、来年初めからネットマーブルの「リネージュ2レボリューション」、NCソフトの「リネージュレッドナイツ」などがサービス許可を受ける見通しだ。ゲーム業界関係者は「今年北米、欧州、東南アジアで流行した大作が来年から本格的に中国市場でリリースされるだろう。中国企業にしっかり警告しなければ、来年発売する大作のパクリ被害が減らない」と述べた。
 中国の盗作ゲームが最近、韓国に逆輸出されていることも業界の立場が変わった要因だ。今年1月にはネクソンのパソコン向けオンラインゲーム「ツリーオブセイヴァー」をまるごと剽窃した中国製モバイルゲーム「ロストテール」が韓国でサービスを開始した。ネクソンが法的対応に乗り出す構えを見せると、韓国でのサービスを中止したが、中国ではまだサービスを継続している。問題は中国での訴訟が容易でないことだ。韓国ゲーム産業協会のソ・ヒョンイル会長は「知的財産権訴訟は、ほとんど3年以上の長期戦となるため、中国の盗作ゲームは裁判が決着するまでにカネを稼ぐだけ稼いでしまっている」と指摘した。
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