2017年12月8日金曜日

ハッキリ言おう、行政はもう「地域活性化」に関わらないほうがいい

勉強の為に転載しました。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53736

地域の未来を「守る」つもりなら
少子高齢化による人口減少を食い止めるために、国家プロジェクトとして進められている「地方創生」事業。自治体どうしを競わせ、地方活性化を促進すると言えば聞こえがいい。しかし、地方自治総合研究所の今井照主任研究員によると、その実態は「若年層の貧困化を生み出し、人口減少に拍車をかけた国政の失敗を、自治体に転嫁するもの」だった。その弊害は、すでに自治体を苦しめ始めているという。どうしたらいいのか。<連載第二回はこちら

前提を間違えた「大学立地規制」

なぜ日本では諸外国にないスピードで高齢化が進行するのか。その要因は、前回記事で述べたように、2000年前後の国政の失敗にあります。ところが、国はいまもなお同じような過ちをくり返しています。その一つが「地方創生」と呼ばれる地域活性化策です。地域や自治体はこうした国の動きにどのように立ち向かえばよいのか。今回はそれを考えていきます。
文部科学省は9月29日、東京23区における大学の新設や定員増を今後2年間認めないという告示を出しました。全国知事会長らが6月30日に出した緊急声明やその直前の閣議決定に基づく措置です。これに対して、東京都の知事や都議会は猛反発し、規制緩和論者たちは「保護主義」だと批判しています。
しかし、私の考えでは、どちらの立場も問題の所在やその構造を見誤っています。双方ともに前提としているのは、若年世代が東京圏に集中することで地方圏の人口減少が進んでいるという「東京一極集中」の認識です。片方はそれに対して否定的であり、片方は肯定的であるということになります。ところが、その前提はまったく疑わしい。
【図1】は秋田県の人口増減を、社会増減と自然増減に分けてみたものです。1990年代から人口の自然減(出生数と死亡数の差)が始まっていることがわかります。
それまでは大量の社会減(県外転出数と県外転入数との差)を自然増で埋めていたので、人口減少が目立たなかった。ところが、自然減が始まったために、にわかに人口減少問題がクローズアップされるようになってきたのです。社会減は続いていますが、かつてと比べればはるかに少なくなっている。
大学立地規制を進める立場も批判する立場も、こうした構造が見えてないのではないかと思います。60年代から70年代までの知識と経験のままにとどまっているのです。
秋田県だけが特別なのではなくて、地方圏ではおおむねこのような傾向にあります。自然減が始まる時期には早い遅いがありますが、今後のトレンドは全国どこでもほぼ同じです。若年世代が東京圏に集中することで地方圏の人口減少が進んでいるという前提がそもそも間違っているから、人口減少対策として大学立地を規制するという的はずれな政策が出てくるわけです。

実は、地方圏の大学生は増えている

【図2】は、大学生の数を東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)と非東京圏とに分けてみたものです。
80年代から2000年代まで、意外にも東京圏以外の大学生が大きく増えている。東京圏と地方圏の学生の割合もみても、同時期はやはり地方圏が拡大していて、2000年以降も同じ水準を保っています。このグラフから、地方圏の人口減少問題と東京圏の大学の学生数には相関関係がないことが明らかです。
こうした現象は、別の深刻な問題を引き起こします。

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