2018年2月16日金曜日

カジノ「つくったら終わりの始まり」韓国男性を直撃

勉強の為に転載しました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180216-00127144-nksports-spo

<三須一紀記者のピョンチャンルポ>

 日本と韓国の大きな違いにカジノの有無がある。17カ所もある韓国だが、そのほとんどが外国人専用。唯一、韓国人が入れるカジノが平昌、江陵(カンヌン)と同じ江原道(カンウォンド)にあるが、国民の「ギャンブル依存症」が大問題となっている。今回、全財産を失った経験がある韓国人男性を直撃。日本でも国会でカジノ法案の議論が続く中、「1つでもつくったら、終わりの始まりだ」と警鐘を鳴らした。

【写真】「江原ランドカジノ」の麓にある質店やモーテル群

 平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)プラザから直線距離で南へ約50キロに「江原ランドカジノ」がある。廃鉱の街の再興策として2000年にオープン。山奥のため車で江陵から2、3時間、ソウルからは3、4時間かかる。

 真っ暗な田舎に突如現れる、膨大なネオン。まだカジノではない。質店、モーテル群だった。さらに山を上ると、王宮のような豪華なネオンが姿を現した。氷点下10度以下の夜の街に人影はなかったが、カジノは人であふれかえっていた。最大7000人収容のところ、4300人以上がばくちにいそしんでいた。

 想像した雰囲気ではなかった。目が血走り、服装も乱れがちな人だかりが、ポーカーやバカラのテーブルを囲んで殺気立っている。お世辞にも富裕層には見えなかった。外国人は無料だが、韓国人も入場料9000ウォン(約900円)と安く、気軽に入れる。職員によると99%が韓国人で、全国から集まるという。

 実態を探ろうと、麓にある質店に突撃を試みるも、取材拒否。諦めかけたが、同行通訳の知人の紹介を繰り返し、ギャンブル依存症に苦しんだ経験がある男性が、取材に応じてくれることになった。

 無職のユン・ヒョクマンさん(58)。家族を抱えソウル近郊で会社員などでまじめに働いていたものの、一獲千金を狙い、10年に江原ランドに足を踏み入れた。最高で500万ウォン(約50万円)勝ち、負けた時は700万ウォン(約70万円)だったが「勝った時が忘れられない典型的な依存症」で、抜けられなくなった。

 気付けば1億ウォン(約1000万円)を失っていた。自宅へ帰る金もなく、チルジルバン(サウナ)の床で雑魚寝する生活に落ちていた。同じ境遇の人が大勢いた。数時間仮眠し、シャトルバスでカジノとの往復を繰り返していた。

 さらにひどい人も見た。「質店に車を入れ、帰れなくなった人。ホームレスになった人。カジノホテルで首をつった人」。夫を救済しようとした妻まではまった事例もあるといい「ここでは男が工事現場、女は食堂でバイトして夜はカジノに行く」と語った。

 質店はボロもうけで「10日間で10%以上の手数料。その間に借りた金を返せなかったら、さらに利息を上げる。手数料込みの金を払えなければ、入れた物は質店のもんさ。それを高値で転売する」。

 15年、ユンさんは奥さんから離婚の最後通告を受け首の皮一枚、足を洗った。今はアルバイトでこつこつ働いている。

 日本では16年に統合型リゾート(IR)推進法案が成立し、現在国会ではカジノ設置へ向けた実施法の議論中。それを聞くと、身を乗り出して言った。「1度つくったら終わり。麻薬と一緒。日本はつくらない方がいい。せっかくパチンコっていう小さな金で楽しめるもんがあるのに。カジノつくったら、その人たちみんな、そっちに行くよ」。経験者の話はリアルだった。【三須一紀】

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