2018年6月24日日曜日

今買いたいNVMe SSDはこれだ!速度と動作温度で見る超高速SSD選び

勉強の為に転載しました。
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/sp/1080926.html

主要5製品でチェック text by 鈴木雅暢

 SSD市場では、PCI Express/NVMeに対応したM.2フォームファクターのSSDが広まりつつある。6Gbps SATAのSSDの数倍にも上るパフォーマンスと、省スペースでケーブルレスで利用できる点が大きな魅力だ。また、Intelに続き、AMDプラットフォームでもM.2 SSDの利用環境が整備されてきたことも大きい。
 一方、NVMe対応SSDは高速化に伴って発熱が大きくなっており、冷却という点も考慮に入れる必要が出てきた。今回はそうした事情を考慮しつつ、メジャーブランドのPCI Express/NVMe対応M.2 SSDを5製品ピックアップし、性能と発熱をチェックしてみたので、その結果をお届けしよう。

主要NVMe対応SSD 5製品をチェック、汎用性の高いヒートシンク無しのM.2 SSDからチョイス

 今回テストするSSDは、以下の5製品。いずれもメジャーブランドで入手性の高いものだ。参考として、SATA SSDに対してNVMe SSDがどの程度アドバンテージを持っているのか見るため、参考値として6Gbps SATAの「Samsung SSD 850 EVO」のスコアも加えている。
 最近は放熱対策として標準でヒートシンクを備える製品もあるが、ヒートシンクの大きさなどはまちまちで、装着できる環境にも制限が付く場合もあることから、今回は汎用性の高いヒートシンク無しモデルに絞っている。
・Intel SSD 600p(SSDPEKKW512G7X1)
実売税込24,000円前後
 SSD 750でいち早くNVMeをコンシューマSSD市場に持ち込んだIntelが普及価格帯に投入したM.2のNVMe SSD。コントローラはSilicon Motion製のSM2260を採用している。流通量が減りつつあるやや古めの製品で、リード、ライトともNVMe SSDとしては高速な部類ではないが、「最高速ではないがSATAよりは速く、プラスαの予算で買える」という点を真っ先に突いてきた製品として、今回のセレクトに加えた。
・Plextor M8Se(PX-512M8SeGN)
実売税込32,000円前後
 Marvellのコントローラ「88SS1093」と独自開発のファームウェアにより2D TLC NAND型フラッシュメモリを採用しながら高いパフォーマンスと耐久性を実現している。ヒートシンク付きモデルやHHHLタイプのモデルもラインナップしており、好みに合わせて選べる。
・Samsung SSD 960 EVO M.2(MZ-V6E500B/IT)
実売税込31,000円前後
 Samsungのメインストリームモデル。疑似SLCキャッシュ技術「Intelligent TurboWrite」により、リード3GB/s超の高性能とリーズナブルな価格を両立。500GBモデルの疑似SLCキャッシュ容量は、固定で4GB、最大22GBまで必要に応じて確保される。底部ラベル内に銅箔層を入れ放熱効果を高める工夫がなされている。
・Samsung SSD 960 PRO M.2(MZ-V6P512B/IT)
実売税込41,000円前後
 3D MLC NANDを採用したSamsungのフラグシップ。SSD 960 EVOをさらに上回る高性能と高耐久性を誇り、保証期間も長い。コントローラをDRAMキャッシュに積層するほか、一つのNANDパッケージに最大16層のダイを積層しており、片面実装のM.2で最大2TBを達成しているのも特徴。SSD 960 EVO同様に銅箔層ラベルを採用している。
・Western Digital WD Black PCIe(WDS512G1X0C)
実売税込24,000円前後
 HDDのトップメーカーとしておなじみのWestern Digital初のコンシューマ向けNVMe SSD。SSDでも色を使ったブランディングは健在で「Black」はハイエンド。スペックはNVMe SSDとしては目立たないが、リーズナブルな価格と5年の長期保証が魅力だ。コントローラはMarvell製88SS1093で、サンディスク製NANDを採用している。
※記事訂正(9/19)記事初出時、採用NANDの種類をMLCと記載しましたが、正しくはTLCとなります。また、メーカーが搭載NANDを明記していないため、本文中の表記はメーカーに合わせるかたちに訂正させていただきました。読者ならびに関係者の皆様にはお詫び申しあげます。

NVMe SSD 5製品の速度をチェック、今世代ではSamsung製モデルの高速さが目立つ

 それでは検証に入ろう。速度の計測にはCrystalDiskMark 5.2.2とIometer 1.1.0の二つのベンチマークソフトを使用した。
 テスト環境だが、PCケースに入れていない状態で行っている。ただし、緩やかなエアフローを作るため、マザーボードの端から約20cm離れた位置(前面ファンを想定)に12cm角ファンを設置し、回転速度約800rpmの低速で回している。
・テスト環境
 CPU:Intel Core i7-7700K(4.2GHz)
 マザーボード:ASUS ROG STRIX Z270G GAMING(Intel Z270)
 メモリ:Crucial Ballistix Sport W4U2400BMS-16G(DDR4-2400 16GB×2)
 SSD(システム):Samsung SSD 850 EVO MZ-75E250B/IT(SATA 250GB)
 電源:SS-660XP2S(660W)
 OS:Windows 10 Pro 64bit版
 室温:28℃

CrystalDiskMark 5.2.2で速度検証、NVMe SSDらしい高速性を発揮

 まずは定番の「CrystalDiskMark 5.2.2」で基本性能を測定した。シーケンシャルリードのスコアはどれも6Gbps SATAの理論帯域(600MB/s)の数倍以上で、高速インターフェース(PCI Express)を得て大きな進歩をしたことがはっきり分かる。
 なかでもSamsungの2台は3,000MB/sを大きく超えており、PCI Express 3.0 x4の理論帯域(約4GB/s)に迫る勢いだ。
CrystalDiskMark(シーケンシャルアクセス)の結果
 シーケンシャルライトはリードほどではないが、ライトもやはりSerial ATA 6Gb/sの理論値を大きく上回るスコアを出している。どの製品もほぼ公称値どおりのスコアだが、ここでもやはりSamsungの2製品が突出して強さを見せている。
CrystalDiskMark(ランダムアクセス)の結果
 ランダムの4Kリード/ライトでは、リードではSSD 960 PROとPlextor M8Seがほぼ並んでトップで、SSD 960 EVOとWD Black PCIeも優秀なスコアで続く。Intel 600pはその2台からも少し離されている。ライトではSamsungの2製品が強い。とくにリード性能も優秀なSSD 960 PROはスキのなさが際立っている。

Iometer 1.1.0でも高速なSamsungのモデル、キャッシュ機能の効果は絶大?

 ランダム性能にフォーカスしたテストして、「Iometer 1.1.0」での計測も実施した。
 テスト条件のうち、QD32T4はどちらかと言えばサーバー向けの内容で、ランダムリード/ライト性能の指標としてよく使われる。今回はこれに加えて、クライアントPCの実感に近い条件であるQD1T1でも行なっている。
Iometer 1.1.0(QD32T4)の結果
Iometer 1.1.0(QD1T1)の結果
 QD32T4、QD1T1ともにリードではSSD 960 PROがトップ。QD32T4では、SSD 960 EVOとPlextor M8Seも25万IOPSと高いスコアをマークしているが、WD Black PCIe、Intel 600pは少し離された。QD1T1では全体にモデル間の差が少ないが、それだけにSSD 960 PROの突出ぶりは目立つ。それに続くSSD 960 EVOも他製品の1段上のスコアだ。
 ライトでは両条件ともSSD 960 PROをわずかに抑えてSSD 960 EVOがトップ。この2台が他社製品を大きく離している。SSD 960 EVOのV-NANDはTLC仕様で、本来はMLCに比べて書き込み性能では不利なのだが、同社独自の疑似SLCキャッシュ技術「Intelligent TurboWrite」によって3D MLCのSSD 960 PROに迫るスペックを実現している。CrystalDiskMarkに続き、このIometerでもSSD 960 PROと同等のスコアをマークしているのは、これが有効に機能しているためだろう。

速度に影響するNVMe SSD動作時の発熱、冷却が足りない場合SATA SSDより遅くなるケースも

 NVMe対応SSDは高速化に伴い、発熱の大きさが課題として浮上している。発熱が大きくなると過熱による故障を予防するためにサーマルスロットリング(クロックを下げたりデューティサイクルを下げたりして処理を抑え、各チップの温度を下げる)を行なうため、発熱の大きさはパフォーマンスにも悪影響が出ることになる。
 そこで、その影響がどの程度のものなのか、ベンチマークソフトと実際のファイル転送時の様子を調べてみた。

TxBench 0.95bで発熱の影響、SamsungやPlextorは性能低下が少なめ

 SSDに高負荷をかけたときにその影響がどのくらいあるのか、「TxBench 0.95b」を使い、シーケンシャルリード(128KB/QD4)を200秒間連続して行ない、転送速度の推移を記録したログから、最大/平均/最小の転送速度を算出した。
TxBench 0.95b実行時の転送速度
 テストの負荷が高いためどれも多少なりともサーマルスロットリングによる性能低下が見られる。とくに顕著なのはIntel 600pでログによると、開始から40秒経たないうちに性能が低下し始め、最小値も111.68MB/sと大きく落ち込んだ。
 Samsungの2台とPlextor M8Seは比較的安定した推移を見せた。とくにSamsungの2台はもともと高速なためもっとも大きく落ち込んだ時でも2GB/s以上をキープしている。SSD 960 PROとSSD 960 EVOでは平均でも前者のほうが高速だが、前者のほうが早い段階(120秒過ぎ)で性能低下が始まるため、平均値は最大値よりも差が縮まる結果となった。

大容量ファイル転送時の性能を計測、冷却が足りない場合はSATA SSDよりも低速に

 SSDの発熱を見るときに気を付けねばならないのは、性能と発熱は密接な関係があることだ。一定時間連続して負荷をかけるテストで「性能が下がらない」、「温度が上がらない」ほうがよいというのであれば、思い切り低速に設計すればよいだけである。
 つまり、温度が高いか低いかだけ、ピーク性能から低下するかどうか(相対的な推移)だけを見ていては本質を見誤る。温度を見る際には性能も合わせて見る必要があり、性能は相対性能ではなく絶対性能に重きを置いて判断すべきだろう。そして、「性能が高ければ同じ処理を短時間でこなすことができるために発熱している時間も短い」という要素も見逃してはいけないだろう。
 というわけで、ここでは実際のコピー操作を行ない、それにかかった時間を計測しつつ、温度を計測した。条件は、デジタル一眼のRAWファイル(1,228枚、50.5GB)をドライブ内でコピーし、進捗98%の時点でサーモグラフィーを撮影した。測定ポイントについては、コントローラ、DRAMキャッシュ、NAND型フラッシュメモリ、それぞれの中でもっとも温度が高かった部分に設定している。室温は28℃、テストSSDはテスト直前に強制空冷し、一度36℃以下に下げてからテストを開始している。
50.5GBのファイル転送にかかった時間
 コピー時間については上に掲載したグラフのとおりだ。リードとライトの要素があるためか、思った以上に差が開いている。もっとも高速なのはSSD 960 PROで、2位のSSD 960 EVOより30秒以上高速だ。シーケンシャルリード/ライトではほ同じ両者だが、意外に差が付いたのは、3D MLCと3D TLCの違いだろう。SSD 960 EVOのIntelligent TurboWriteで確保する疑似SLCキャッシュ容量は22GB(500GBモデルの場合)なので、それを超える50.5GBのファイルコピーでNAND型フラッシュの地力の差が出た格好だ。
 Plextor M8Seは、200秒の連続リードでは比較的安定していたのだが、こちらのテストではSSD 960 EVOから大きく離されている。もともとシーケンシャルライトの性能では差があるが、2D TLCを採用していることから、書きこみ時には多重ベリファイなどコントローラの処理が複雑になることは避けられないだけに、やはり負担も大きく、サーマルスロットリングが発生する頻度も高いのだろう。
 Intel 600pは、温度は低いもののコピーは遅いという結果となった。txBenchのリードでも早々にサーマルスロットリングが発生していたが、サーマルスロットリングの発生する温度の敷居値が低く設定されているのだろう。温度が上がらない代わりに、コピー時間はSATA SSDと比べても大幅にかかってしまった。
SSD 600p
(SSDPEKKW512G7X1)
 コントローラの温度は5製品中もっとも低い。しかし、コピー時間は9分以上もかかってしまっている。おそらくサーマルスロットリングが作動する敷居値がほか製品よりも低く設定されているのだろう。そのために早期からサーマルスロットリングが頻繁に発生してパフォーマンスが低下し、時間がかかってしまったと思われる。
M8Se
(PX-512M8SeGN)
 コントローラが111.3℃と非常に熱くなっているほか、DRAMキャッシュ、NAND型フラッシュもほかに比べて高め。高度に微細化した2D TLCのNAND型フラッシュを搭載しているため、多重ベリファイなどの必要性から書きこみ時のコントローラの負担が大きいのだろう。コピー時間も長くかかってしまっている。
SSD 960 EVO
(MZ-V6E500B/IT)
 98.5秒と比較的早くコピーを終えていることもあり、もっとも熱いコントローラでも約81℃と極端に熱くなってはいない。熱の偏りも少ない印象。裏面の銅箔層入りラベルの効果か、うまく熱を分散できているようだ。
SSD 960 PRO
(MZ-V6P512B/IT)
 61秒とダントツで高速。そのため温度的にも有利になっている。DRAMパッケージの上に積層で実装されているコントローラ、NAND型フラッシュメモリともピーク温度は同じだが、周辺の温度はより低い。
WD Black PCIe
(WDS512G1X0C)
 コントローラは約75℃と他製品よりも低めだが、NAND型フラッシュメモリの一部に熱の高い部分があり、一番高い部分では95℃となっている。コピー時間は281.9秒と、Serial ATAのSSDよりも遅く、やはりサーマルスロットリングの影響が感じられる。

トータルバランスを取るならSSD 960 EVOがベストバイ絶対的な速度ならSSD 960 PRO

 これまでの結果を踏まえ、お勧め製品を最後に紹介しよう。
 性能から言えばSSD 960 PROが最強なのは疑いがない。シーケンシャルリード/ライトもそうだが、QD1Tのランダムリードの突出ぶりは素晴らしく、体感でも爆速感は感じ取れる。しかし、いかんせん高価でターゲットは限られる。実売価格で1万円安いSSD 960 EVOもこれに迫る性能を持っており、とくにターゲットを定めないお勧めとしてはこちらを上位にとりたい。
 3番手はWD Black PCIeとPlextor M8Seで迷うところ。後者は2D TLCの不利を感じさせない性能を持つが、実売価格を考えるとWD Black PCIeのほうが旨みがある。性能的に強調はできないものの、条件によってブレが少ない点と5年保証まで考慮して、総合力からWD Black PCIeを推したい。

1位 Samsung SSD 960 EVO

 最速のSSD 960 PROに迫る高性能と、SSD 960 PROよりリーズナブルな価格が魅力。銅箔層入りのラベルで放熱しやすいのもポイント。

2位 Samsung SSD 960 PRO

 シーケンシャル/ランダム、リード/ライト、いずれもスキがない。放熱性能も問題ない。予算に余裕があるならば文句なしにこれだろう。

3位 Western Digital WD Black PCIe

性能面ではとくに突出したところこそないものの、NVMeとしてはリーズナブルな価格、WDブランドと5年保証の安心感は強み。
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