2018年6月29日金曜日

日本人だけが知らないTPPの真実

勉強の為に転載しました。
http://www.alterna.co.jp/20739

「誤解を恐れずに言えば、賛成で、参加するしかない」
TPPについて調べていると2011年1月のオルタナの記事が目についた。誰のコメントかと思えば自分だった。
一方、2011年1月の別の誌面では、「日本がTPPに参加しようがしまいが、きちんと食べていける仕組みを作るのが農業経営者の仕事」と回答していた。
このように答えたのは、経営者としては賛成も反対もなく、ルールの中で頑張るしかないという意味だ。当時は自分の考えもブレていたなと反省することしきりだが、TPPに関する情報があまりにも少なく、答えようがなかったというのが正直なところだ。
TPPに参加しても、自社のブランドをしっかりと確立すれば安価な外国産とも勝負できるとは考えていた。
ところが、この考えを改めないといけない出来事があった。
2013年6月に元農林水産相の山田正彦氏をお呼びして友人とイベントを開催した。そこで山田元農林水産相はNAFTA(カナダ・メキシコ・米国3カ国による自由貿易協定)を例に、メキシコにとっては「日本の米」であるとうもろこしを事例に、どの様なことが起こったのかを教えてくれた。
メキシコの主食はとうもろこしから作るトルティーヤ。安い米国のとうもろこしはここぞとばかりメキシコへ攻勢をかける。
メキシコより安いのは、大規模化が進んでいるだけではなく、多額の補助金が出ているから。(日本の農家は補助金付けという報道ばかりなので、この事実も日本国民はほとんど知らないだろう)。

このため、メキシコのとうもろこし農家が200万戸倒産。廃業した農家は家族を連れ米国へ。そして米国人よりも低賃金で就職。更に雇用の場となる工場はどんどんメキシコに出て行ってしまい、500万人の米国人が失業。結果、同国の国民の収入は1972年の水準まで低下。
メキシコではどうなったのか。
NAFTA前にはトルティーヤが5分の1の価格で食べられるという触れ込みで国民は大いに喜んだそうだ。確かに一時的には安くなったのだが、小さな農家が廃業し大資本が農業参入した結果、とうもろこしの寡占化が進んでしまった。その結果、トルティーヤの価格は3~5倍になったそうだ。
こうした話を「TPPを最もよく知る日本人」の山田元農水相から聞いたことで、大いに考えさせられた。山田正彦著『アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!』(サイゾー・2016年)は、ぜひ読んでいただきたい。
TPPは実は12カ国中国民の反対多数の国が8カ国あることや、「国の主権を奪う」として各国が最も警戒しているISD条項によってどのような訴訟が世界で起こったのかなど、我々日本人が知らない衝撃の事実がこれでもかと記載されている。
ブレグジットと米国のTPP離脱が示すところは、世界が「脱・行き過ぎたグローバル化」に舵を切っているということだ。ところが日本では「周回遅れのグローバル化」という批判をものともせずに「規制緩和しろ」「農協は解体しろ」とグローバル化が推進されていく。
「グローバル化がすすめば、ローカルに光があたる」と信じている人もいるだろう。(僕も以前はそうだった)
ところが現実の自由貿易協定はそんなに甘いものではない。
農業・食の分野でいえば、TPPが締結されていたら、「国産」の記載ができなくなるだろう。
「国産」の表記が禁止されるということは、「みやじ豚」など、国産であることを証明する表記も禁止されることになるだろう。つまり、「ブランド」を確立しても全く意味がないということだ。

「TPPに反対する農業者の戯れ言だ」と思うかも知れないが、そうではない。
事実、米国では牛肉の国産表記が禁止されてしまった。
僕は47都道府県全てに足を運んだが、どこへ行っても外国産の農産物で食事するなんて、日本人としてもひとりの観光者としても到底受け入れられるものではない。「21世紀最大の産業は観光業」と言われ、観光に力を入れることが地方の生き残る道だと考えているだろう。しかし、国産であること地元産であることを打ち出せなければ食を軸に置いた観光は機能しなくなるだろう。
「TPPは消滅したから安心だね」と思う人もいるだろうが、日米FTAの可能性がまだ残っている。米国も「日本が第一の標的になる。」「TPP交渉を上回る合意を目指す。」と鼻息が荒い。
一番問題なのは、TPPの真実がどのようなものであるか我々国民が全く知らず、TPPに参加すれば明るい未来が約束されていると思い込まされていることだ。地域ブランドの創出、地域活性を掲げている一方で、「TPPを推進しろ」なんて言っているのがいかに矛盾しているか、のんきで甘い考えであることがおわかり頂けるだろう。
「TPPは過去の話」ではない。今、このタイミングでTPPについて改めて学び考えることで、みんなが同じ目線で日本社会の未来を描けるようになるはずだ

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