2018年7月29日日曜日

海の生物から発見された化合物「コルチスタチンA」 、HIVウイルスを体内から除く働きを発見

抗レトロウイルス治療で残留するウイルスを95%除去


写真はイメージ。記事と直接の関係はありません。(写真:NIAID/クリエイティブ・コモンズ表示-2.0 一般)
写真はイメージ。記事と直接の関係はありません。(写真:NIAID/クリエイティブ・コモンズ表示-2.0 一般
 コルチスタチンAという天然化合物から、抗レトロウイルス療法では殺すことのできないHIVウイルスの残留レベルを下げる薬ができるかもしれない。

抗レトロウイルス療法は一生続く

 米スクリプス研究所のスサナ・ヴァレンテ氏らの研究グループが、エムバイオ(mBIO)誌において2015年7月8日に報告している。

 HIVに感染した人が受ける抗レトロウイルス療法は、感染した細胞でウイルスを抑えているだけで、休眠細胞内ではウイルスが長期間生き続けているため一生治療を受け続ける必要がある(ワクチン投与でHIV感染者の免疫を強化、既存のウイルス薬の威力を増強HIVウイルスを体内から除く画期的な治療法、「キメラ抗原受容体」が感染した細胞を殺すを参照)。

 そのため抗レトロウイルス療法を中止すると、ウイルスは復活し、エイズの発症につながってしまう。

 今回、研究グループは、ジデヒドロ‐コルチスタチンAと呼ばれる物質が、HIVに感染した細胞でウイルスが復活するのを防ぐことを明らかにした。

海の生物から発見された物質

 コルチスタチンAは、インドネシアの「海綿」と呼ばれる海の生物から2006年に発見されて、2008年にはスクリプス研究所のフィル・バラン氏が人工的な合成に成功したものである。

 ジデヒドロ‐コルチスタチンAという形状の化合物は、以前の研究でウイルスの生産を増大させる「Tat(タット)」と呼ばれるタンパク質を抑えることが知られていた。

 研究グループは、抗レトロウイルス薬で治療を受けている9人のHIV感染者から、ウイルスの感染した免疫機能を担う細胞であるT細胞を取って、ジデヒドロ‐コルチスタチンAを振りかけた。

HIV感染した人由来の細胞でウイルスを抑えた

 その結果、ウイルスの感染したT細胞において、ジデヒドロ‐コルチスタチンAはウイルスが再活性化するのを92.3%も低くしたという。
 
 ジデヒドロ‐コルチスタチンAは、HIVウイルスの遺伝子発現に必要なメッセンジャーRNAのレベルを大きく減少させることにより、ウイルスが複製するのを阻害していた。

 HIVの新たな治療薬として、注目されるかもしれない。

文献情報

Scripps Research Institute-Designed Drug Candidate Significantly Reduces HIV Reactivation Rate
http://www.scripps.edu/news/press/2015/20150708valente.html

Mousseau G et al. The Tat Inhibitor Didehydro-Cortistatin A Prevents HIV-1 Reactivation from Latency.
MBio. 2015 Jul 7;6(4).
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26152583

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