2018年10月21日日曜日

燃え尽き経験を億単位のビジネスに 29歳女性起業家の成功の秘訣

勉強の為に転載しました。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181021-00023516-forbes-bus_all

ロックスクリーンアプリ「ロケット(Locket)」リリースに向け激務をこなす3年間が続いた後、疲れ果てたユナ・キム(29)は瞑想(めいそう)を始めた。フォーブスがまとめる革新的な若手のリスト「30アンダー30」にも選ばれたキムは、「少し懐疑的だった」と話す。「でも、瞑想を始めてから自分の生活やストレスへの対応方法、考え方が変わった」

インスピレーションを受けたキムは、その時出回っていた瞑想アプリを片っ端から試したが、そのたびにがっかりした。問題は、既存アプリの大半が特定の講師や瞑想テクニックに特化している一方で、自分が求めていたのは多様なコンテンツであることだった。そこでキムはロケットを売却し、1000種類以上の瞑想方法をガイド付きで提供するマインドフルネスアプリ「シンプル・ハビット(Simple Habit)」を立ち上げた。

シンプル・ハビットは2016年の立ち上げ以降、170万人にダウンロードされ、そのうち4万人以上がアプリの全機能を使える課金サービスを利用している。このアプリでは、人生の目的探しや、仕事後のリラックス、フライト前の準備など、さまざまな状況に合わせた瞑想ができる。キムと15人の小規模なチームは今年のグーグルプレイ賞健康アプリ部門を受賞した。

「私たちのビジョンは、誰もが幸福に感じ、つながりを感じて生活できる世界を作ること。瞑想はそれを達成する特に効果的な方法の一つ。何時間も費やす必要はなく、5分だけでも良いし、いつでもどこでもできる」とキム。

キムは筆者とのインタビューで、ビジネスを始めた経緯や競合アプリとの差別化ポイントについて共有してくれた。

筆者:シンプル・ハビットの設立前には何をしていましたか?

ユナ・キム:私のキャリアはニューヨークの投資銀行から始まった。初の起業でロケットを立ち上げるため銀行を辞めた。ロケットを2015年に売却した後、スタンフォード大学経営大学院に進学した。シンプル・ハビットはそこで立ち上げた。

筆者:シンプル・ハビットができた経緯は?

キム:素晴らしい瞑想講師の中にも、自分でアプリを作る時間がなく、ネット上で存在感を発揮できない人は多い。そこで「瞑想版のスポティファイはないから、それを作ろう」と思った。講師はコンテンツの制作に注力してもらい、私たちの方でコンテンツを配布して収益化するアプリを作ろう、と。
投資家の心をつかんだ方法とは
筆者:どういう仕組みですか?

キム:瞑想の講師はシンプル・ハビットに応募し、当社の審査を受ける。審査が終わったら、コンテンツを掲載する。これは2つの側面を持つ商品売買の場。片方は、瞑想講師という供給側。もう片方は、ユーザーという需要側。一般的な瞑想アプリはこのような仕組みになっておらず、自社でコンテンツを作る出版社的アプローチを取りがちだ。

筆者:競合アプリとの違いは?

キム:当社は絶えず新たなコンテンツを作り出す75人の講師を抱えている。毎週私たちは、さまざまな問題に合わせた新たな瞑想コンテンツを出している。

筆者:なぜアプリなのでしょう?

キム:ミレニアル世代によく合っているから。この世代はあらゆるものをモバイル端末で消費している。実はシンプル・ハビットにはウェブ版もあり、そちらを強化するために現在再構築を行なっている。

筆者:資金はどうやって調達しましたか?

キム:最初は自己資金を使った。投資家から資金を集めることに、どれほどのコミットメント(確約)が必要かを知っていたから。私は、自分が実現可能なビジネスと意義のある理念を持っていることを証明したかった。昨年、スタンフォード大学経営大学院を中退し、(スタートアップ養成所の)Yコンビネータに入った。そこを卒業後、ニュー・エンタープライズ・アソシエーツやドロップボックスのドリュー・ヒューストン最高経営責任者(CEO)、ガスト(Gusto)のジョシュ・リーブスCEOらから250万ドル(約2億8000万円)の投資を集めた。それ以降、私たちは事業を5倍にし、年間経常収益は300万ドル(約3億3600億円)を超えている。

筆者:投資家へはどうやって売り込んだのか?

キム:3つの要素がある。1つ目は市場におけるスペース。ストレスの問題は悪化するばかりで、米国では5人に1人が不安を抱え、さらに1人が鬱(うつ)に苦しんでいる。治療は非常に高価で時間がかかることが多く、米国では一次医療の診察の70~90%がストレス関連だ。セルフケアを簡単に得られるようにすることで、それを数パーセントでも減らせれば、数十億ドル(数千億円)規模の節約になる。

2つ目はビジネスモデル。当社は講師側のコンテンツ収益化を可能にした初のアプリだ。提供コンテンツにはさまざまなものがあり、多くの講師を抱えているため、需要が増えるにつれてコンテンツの質は増すばかり。

3つ目はけん引力。App Storeで「meditation(瞑想)」と検索すると、当社のアプリが最初に出てくる。またユーザーの80%は、1週間に7回以上瞑想している。これはとんでもない数字だ。
起業しようと思っている人へのアドバイス
筆者:ビジネスモデルは?

キム:ユーザー側では課金モデル。無料で商品を使えるが、瞑想コンテンツを全て自由に使いたい場合は月次か年次の会費が必要。売り上げの一部は聴講回数に応じて講師と共有する。

筆者:最大の課題は?

キム:優先順位をつけること。シンプル・ハビット利用権をまとめ買いして福利厚生の一部として提供したいという企業からオファーをもらうこともある。成長のために、雇用主が社員のエンゲージメントを追跡できるツールを構築する誘惑に時々駆られるが、そうすると顧客ビジネスがおろそかになってしまう。

筆者:最も大きな成功は?

キム:高品質な講師ネットワークを構築できたこと。講師はコロンビア大学やグーグルなどのテック系企業で教えている人、エグゼクティブコーチや心理学者などがいる。このおかげで私たちは、顧客により良い商品を提供できる。

筆者:シンプル・ハビットの次の目標は?

キム:今後3~5年で、人生のあらゆるストレスや問題から人を解放する場所にしたい。それを実現するため、人々のニーズの解決を徹底的に追求する。当社ではユーザーの問題を理解するため、常に多くのユーザー調査をしている。瞑想講師、セラピスト、医者、心理学者など世界のあらゆる専門家を集めて、人を助けられる豊かなコンテンツを持つ売買の場を作り上げたい。

筆者:仕事を辞めて起業しようと思っている人へのアドバイスは?

キム:起業は最初の1、2年の間は楽しいが、困難な時期が来る。その時自分の士気と正気を保ってくれるのは、自分のミッションだ。自分の作っている会社は世界にどのような影響をもたらすだろう? そのミッションを常に考え、100%コミットすること。

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