沖縄県が未就学児(0~6歳)を対象に入院・通院ともに、医療機関の窓口で支払いの必要がない
「現物給付方式」(窓口無料化)を全市町村で導入する方向で検討していることが分かった。
来年10月の導入を目指し、子どもの医療費を公費で負担する「こども医療費助成事業」の
制度を見直す。来年1月までに最終的な内容を固める方針。

砂川靖保健医療部長が27日の県議会代表質問で、亀濱玲子氏(社民・社大・結)の
質問に答えた。
 現行制度は、窓口で一時立て替え後、指定口座に振り込まれる自動償還方式が原則。
入院は中学生以下が無料、通院は0~2歳が無料、3~6歳で1医療機関につき月額千円の
負担がある。
 見直し案では未就学児の通院・入院を現物給付に変更する一方、小学1年~中学3年まで
の入院は現行制度と同じく自動償還で給付する。
 県は4月、子どもの貧困対策の一環として、低所得層に中学卒業までの入院・通院の
現物給付を導入する案を検討。所得区分を設け、中間・高所得層を負担増とする考えを
示していた。
 県によると、7月下旬~8月にかけての市町村への意向調査で、現行制度をベースに
未就学児への現物給付方式を希望したのが31市町村、残る10市町村は現行制度の継続や
所得区分の導入を支持。所得区分の導入は、区分の事務作業が増えることなどを理由に
市町村からの反発が強かった。
 砂川部長は答弁で、見直しの方向を転換した理由について「市町村の意向を考慮した」と
述べた。要望が多かった「通院の一部負担金の廃止」や「通院の対象年齢を自動償還方式で
拡大」も検討するとした。
 今回の見直し案を導入した場合、事業費は既存の約13億円から約7億5千万円増える
見込み。一部負担金を廃止した場合には10億円以上増えると試算している。