切除不能進行悪性黒色腫の患者436人の第3相ランダム化試験
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◆ヘルペスウイルスを改変
タリモジーン・ラハーパレプベック(Talimogene laherparepvec、T-VEC)は、単純ヘルペスウイルス1型をもとに作られた治療薬で、がん細胞の中で増殖するとともに、免疫細胞を刺激する物質(GM-CSF)を作り出すことで、癌細胞を破壊させるとされています。
この研究は、手術ができない進行した悪性黒色腫をT-VECで治療する効果を調べました。436人の患者が対象となり、T-VECを使うグループと、GM-CSFの注射を受けるグループにランダムに分けられ、それぞれ治療を受けました。
◆反応があった割合が大きい
次の結果が得られました。
ランダム割り付けされた436人の患者の間で、持続応答率はGM-CSF群(2.1%、95%信頼区間0%-4.5%)に比べてT-VEC群で有意に高かった(16.3%、95%信頼区間12.1%-20.5%、オッズ比8.9、P<0.001)。T-VEC群で最も多く見られた有害事象は疲労、悪寒、発熱だった。T-VECで治療された患者の2%以上に起こったグレード3または4の有害事象は蜂窩織炎だった。
T-VECを使ったグループで、6か月以上続く効果が見られた人の割合が16.3%であり、GM-CSFを注射したグループの2.1%よりも多くなりました。
がんをウイルスで治療する方法として、2015年10月時点で広く使われているものはありませんが、T-VECのほかにも、子宮頚がんや頭頚部がんの治療が目指されているアクサリモジーン・フィロリスバック(Axalimogene Filolisbac)など、いくつかの研究が行われています。
今後実際の治療に加わることができるかどうかは未知ですが、期待のかかる分野です。
◆参照文献
Talimogene Laherparepvec Improves Durable Response Rate in Patients With Advanced Melanoma.
J Clin Oncol. 2015 Sep 1
[PMID: 26014293 ]
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