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コボッタは、人とロボットが一緒に作業するコラボレーションロボット、というコンセプトで開発された産業用ロボットアーム。想定されているのは、人の隣で、あるいは対面で一緒に作業する、という使い方だ。
その大きさは机の片隅に置けるほどで、重量も3.8kgと軽く、簡単に持ち運びができる。通常は別体になり、設置の際に邪魔になるコントロールユニットも、台座部分(ベースユニット)に内蔵されている。
一般的な産業用ロボットアームより小ぶりで、丸みを帯びたデザインは、子供の腕のように愛らしい。これは、人のそばで作業するため、突起物を排除したことで生まれたもの。関節部分も、指などを挟まない形状で、曲げた時の可動範囲も抑えられている。また、見た時の印象でも怖さを与えないデザインを心がけたという。
アームの動作速度は、安全柵内で動かす場合なら1000mm(1m)/秒が可能だが、人と協働する場合はISOの規格通り250mm/秒の安全速度以下に制限される。実際に動きを見ると、遅すぎず速すぎず、ちょうどいい速さという印象だ。
同社の産業用ロボットは、精密機器や自動車部品の生産用から、医薬・医療用ロボットまで多彩なラインナップを誇るが、コボッタの場合は、医薬・医療関係のラボラトリーのほか、高校・大学・専門学校など教育現場での使用が想定されている。
同社でロボットアームの開発を担当する澤田洋祐氏によると、開発のきっかけは以前、産業用ロボットの教育教材として同社が開発した卓上サイズのロボットアーム「アカデミックロボット」だったという。アカデミックロボットは、プログラミングなどロボット工学を学ぶための「言ってみればオモチャのようなもの」だが、プログラミングソフトは同社の産業用ロボットと基本的に同じ高度なもの。それを見た各方面から、実際に机の上で仕事をさせられる小型ロボットアームを求める声が届くようになったという。ちなみに澤田氏は、プロ棋士と将棋ソフトが対局する将棋電王戦でおなじみのロボットアーム「電王手さん」の開発者でもある。
また、コボッタの特徴の一つは、誰もがアプリケーション開発できるように、プラットフォームの一部がオープン化されることだ。中枢となるコントローラはニ階層構造で、動作や安全制御を司る第一階層は非公開だが、UI(ユーザーインターフェイス)や軌道計画といったロボットアプリケーションを担う第二階層はユーザーに開放される。
設置の自由度も、ユーザー目線で配慮されている。専用スタンドを使えばボルト締めなしで自立するほか、走行軸や自走台車と組み合わせることで可動範囲を広げることもできる。アーム自体を大きくするより、アタッチメントを使う方が自由度が高いからだ。また、軽量ゆえに壁に据え付けて使う、あるいは2つ組み合わせて双腕型ロボットアームとすることもできる。
また、人が直接コボッタのアームを動かすことで、動作(位置)を教えることができる「ダイレクトティーチング機能」も備わる。これにより、プログラミングの知識がなくても、誰もがコボッタに新しい動きを教えることが可能だ。
さらに、タブレット端末のタッチパネルでコボッタを遠隔操作することもできる。実際に試してみると、指の動きに遅れなく反応して動くのが実感できた。
今回公開されたコボッタはプロトタイプだが、2016年末には発売したいとのこと。価格については、コスト的には難しい面があるものの、多くの人が購入できるよう「なるべく抑えたい」としている。
コボッタは、12月2日から5日まで東京ビッグサイトで開催される「2015国際ロボット展」のデンソーウェーブブースに出展される予定。
《丹羽圭@DAYS》
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