韓国サムスングループが12月上旬、組織改編案を発表した。これまでの組織改編は、事業の大規模な売却や合併を繰り返すものだったが、今回は、主力企業で綿密な組織改編を行った。重複する事業を整理してシナジー効果を生み出し、新たな成長エンジンとして育成するためだ。
今回の改編案では、グループの実質的な持株会社であるサムスン物産が建設事業を一本化する一方、サムスン電子は15年ぶりに自動車事業部を新設した。
サムスン電子副会長である李在鎔(イ・ジェヨン)氏がグループ経営の全般を陣頭指揮して1年半。この時点で、グループ内の主要企業を再編に取り組んだ。サムスン物産と第一毛織の合併、グループ内化学事業会社の売却など、グループ全体での改編と構造調整を続けてきた。2014年7月に第一毛織とサムスンエバーランドを合併させ、同年11月にはサムスントータルやサムスン総合化学、サムスンテックウィン、サムスンタレスをハンファグループに売却した。
三代目の後継者が推進する事業再編
2015年5月にはサムスン物産と第一毛織との合併を、これに反対する米国投資ファンドとの訴訟合戦の末に成功させた。7月にもサムスンSDIのケミカル事業とサムスン精密化学、サムスンBP化学など化学系事業会社をロッテグループに売却するなど、大きな決断を行った。
これにより、サムスンSDIは保有するサムスン精密化学の株式すべてとなる14.65%分を、またサムスン電子とサムスン物産、サムスン電機、ホテル新羅も保有全量となるサムスン精密化学の株式16.48%をロッテ側に売却している。2回の統合再編で、サムスングループは化学事業をうまく整理したことになる。
主要会社を再編したサムスンは、より精密な事業再編へ移行した。グループの両輪となるサムスン物産とサムスン電子の各事業部門を移転し、競争力向上へと乗り出した。15年12月に発表した組織再編案では、サムスンはこれまで合併を行った組織間でのシナジー効果を高め、新たな成長エンジンとなる事業に注力する予定だ。
今回の組織再編案で注目されるのは、サムスン電子が電装部門を新設したことだ。自動車メーカーを目指したサムスン自動車が日産自動車との提携で設立されたものの、その後経営破綻となった。それから15年ぶりに、サムスングループ内に自動車関連部署ができることになる。自動車電装事業は、自動運転で走行する自動車に据え付けられる各種ディスプレイや電子部品、バッテリー、モーターなどを開発する予定。当面は電装部品の開発・製造に注力するが、今後も技術力を着実に育て、来たるべきスマートカー時代に備えるというシナリオだ。
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