拡大する預金の引き出し方が広がりそうだ
金融庁は、スーパーなどのレジでもキャッシュカードで口座から預金を引き出せるよう規制を緩和する。みずほ銀行などが2017年にもサービスを始める準備をしている。ATMがない店のレジや、宅配業者が持つ端末でも現金を引き出せるようにして、利便性を高める狙いだ。
利用者は店員に金額を指定し、ボタンで暗証番号を入力する。レジの現金を受け取り、その分、口座の預金が減る仕組み。利用者の手数料は無料になる見通しだ。全国1100以上の金融機関が扱い、キャッシュカードで買い物ができる「J―デビット」に対応していれば、どの銀行のカードでも使える。
買い物などのついでに現金を受け取れ、地方や郊外ではATMの少なさを補う役割も期待されている。宅配業者がカードによる着払いのため持ち歩いている携帯型端末を使えば、お年寄りなど移動が難しい人が自宅の玄関先で預金を引き出せるようになる。大手カード会社クレディセゾンによると、13年度の日本の個人消費に占める現金決済の割合は54・4%。クレジットカード(13・8%)やデビットカード(0・2%)などを大きく上回り、現金で支払う習慣は根強い。
クレジットカードが使えるレジや携帯型端末の多くは簡単なシステム変更で新サービスに対応できるという。レジに多額の現金を置くと防犯上の問題があるため、最大でも3万円程度の利用に限り、レジに現金がないときは店側がサービスを断れるようにする。
銀行にとっては、維持に月数十万円かかるATMを増やすよりコストを抑えられる利点がある。金融庁は来年にも政令を改正する方針。同様のサービスは米国、英国などで実用化されているという。(上栗崇)
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