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2016年5月15日日曜日

ネットワークのない僻地でもオフロード車でメッシュネットワークを構成して救難信号を送れる「LandCruiser Emergency Network」




モバイル回線が使えない場所でトラブルになると、助けを呼ぶことに苦労することは確実です。そんな悪環境の中でのトラブルは命の危険に直結いかねないということで、悪路をものともしない走破性で人気の四輪駆動車「トヨタ・ランドクルーザー」を使ってメッシュネットワークを作り、緊急信号を伝播させてモバイルネットワークを作り出すという実験が行われています。

Toyota LandCruiser Emergency Network - YouTube

オーストラリアの65%以上の土地は、いまだに携帯電話などのモバイルネットワークが一切使えない「ネットワーク未開の地」です。この面積はヨーロッパ全体よりも広いという巨大さです。

この砂漠や荒れ地や山岳地帯などを旅するとなれば、誰とも連絡を取れないというリスクを抱えなければなりません。

そんなネットワークのない場所で、万一、自動車が故障すれば……

命の危険に遭遇するのは避けられそうにありません。

ネットワーク未開の地で、命を救う緊急時ネットワークを構築するプロジェクトが「LandCruiser Emergency Network」

「オーストラリアの砂漠地帯のアウトバックなどの地域では、地域内の自動車におけるランドクルーザーのシェアは90%におよびます」と話すトヨタ・オーストラリアのブラッド・クラム氏。

過酷な土地では、高い信頼性を持つランドクルーザーは圧倒的な支持を受けています。

クラム氏によると、世界中で高い人気を誇るランドクルーザーでも、最も市場シェアが高いのがオーストラリアだとのこと。

いかに高い走破性と耐久性を備えるランドクルーザーと言えども、事故や故障のリスクをゼロにすることは不可能。

荒れた大地でのリスクに備えることは、ドライバーの命を守ることにつながります。

トヨタ・オーストラリアとフリンダース大学が共同で開発するのが、「LandCruiser Emergency Network」です。

男性が手に持つ黄色の物体が、LandCruiser Emergency Network用のユニット。

筒状のカプセルは、窓ガラスにとりつけます。

あとはプラグを差し込めばOK。

このカプセルは、Wi-FiやUHFの電波を送受信できるネットワーク端末です。

緊急時に救難信号を発すると……

半径25キロメートル以内を走行するランドクルーザーに搭載されたLandCruiser Emergency Network端末が信号をキャッチ。

その情報をランドクルーザーが半径25キロメートルの範囲に送信します。

ジオタグの位置情報がつけられた緊急信号は、ランドクルーザーを経由することで次々とバケツリレーのように、伝播していきます。

LandCruiser Emergency Network端末は、惑星間インターネットで利用される遅延耐性ネットワークにも対応しているとのこと。

次々と伝わっていく緊急信号メッセージは、最寄りのレスキュー本部まで送られます。

あとは、レスキューヘリがジオタグをもとに、トラブル発生地まで助けに向かうという仕組みです。

「ランドクルーザーとこのメッシュネットワークシステムの出会いは素晴らしいものです」

トヨタ・オーストラリアとフリンダース大学は、10台のランドクルーザーを使ってLandCruiser Emergency Networkによるメッシュネットワーク構築実験を行っているとのこと。LandCruiser Emergency Networkが実用化されれば、ランドクルーザーへの信頼性はさらに高まることになりそうです。
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