Wi-Fi Allianceは、米国で6月29日より開始されているマルチデバイス対応のWi-Fi接続デバイス認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED ac」の第2世代規格「Wave 2」を解説する記者説明会を開催した。
Wi-Fi Allianceは、「Wi-Fi」の認定プログラムにより、Wi-Fiの相互運用性とベストなユーザーエクスペリエンスを提供している団体。スマートフォンやタブレット、テレビなど、これまでに3万を超える機器が認定を受けている。現在では、トラクター、ドアベルといった機器にも、認定の対象が広がっているという。
Wi-Fi Allianceのケヴィン・ロビンソン氏は、Wi-Fiを取り巻く2つのトレンドとして、接続デバイス数の増加とリッチコンテンツの利用増加を挙げた。
「米国では、家庭では平均7.8台のデバイスが接続されている。私自身、ホテルの部屋でも5デバイスを使っている」と述べ、2020年までには300億台以上のデバイスがWi-Fiネットワークに接続されるとした。一方、2015年には、1秒間に82万4270分のビデオがストリーミングされていたというCiscoのレポートを紹介。現在は、Netflix、Amazon Prime、YouTubeなどで、より高解像度な4KなどのHDビデオが頻繁に利用され始めている。
Wave 2は、「現在、Wi-Fi接続のコアを占める」Wi-Fi CERTIFIED acの認定プログラムにに新機能を追加して拡張したもので、こうした需要に対応するという。
Wave 2の機能である「MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)」は、最大4デバイスでの同時通信を可能とする規格。機器単体ではなく、ネットワーク全体でのスループットの向上と効率化を図るものだ。ロビンソン氏は、「有線接続時に例えれば、ハブとスイッチの違いに相当するもの」と述べた。例えば、家庭では夫婦や子供の全員がHDコンテンツを同時にストリーミングで楽しめるようになるという。
このほかWave 2では、チャンネル幅が80MHzから160MHzへ2倍になり、通信速度も倍増される。また、サポートする空間ストリーム数を従来の3から4へ拡大。これにより「アクセスポイントは、より高いスループットを1デバイスに対しても提供できるし、クライアント数の増加にも対応できる」とのことだ。
これら3つの機能に加え、5GHz帯での追加チャネルを新たにサポートする。これは「各国の規制で許されているチャネルを最大限に活用するもの」で、隣接ネットワークとの競合可能性も減るという。現在、2.4GHz帯と5GHz帯のデュアルバンドをサポートする機器は68%を占めるが、5年以内に100%に達するとの見方を示した。
こうしたWave 2の機能により、例えば地下鉄駅のWi-Fiスポットなどでは、全員がストリーミングしたり、2020年の東京オリンピックでは、海外からも多くの人が来て、スタジアムで写真や動画をアップロードを行った場合など、ユーザー密度が高い場所でより優れた環境を提供できるという。
Wave 2を含む「Wi-Fi CERTIFIED ac」の認定プログラムはすでに開始されており、Broadcom BCM94709R4366AC、Marvell Avastar A88W8964、MediaTek MT7615 APリファレンスデザインおよびMT6632 STAリファレンスデザイン、Qualcomm IPQ8065 802.11ac 4ストリームデュアルバンドおよびデュアルコンカレントルーター、Quantenna QSR1000 4x4 802.11ac Wave 2チップセットファミリーの5製品がすでに相互運用性のテストベッドを構成する最初の製品となっている。また、Samsung Garaxy S7もWave 2に対応した製品としてすでに提供されている。
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