HIV感染者やエイズ患者の増加が深刻化している中国で、HIVに感染しているかどうかを調べる検査キットを自動販売機で安価に販売する大学が登場し、話題になっている。四川省成都市にある西南石油大だ。中国では特に若者の感染者が増えていることから、大学側が対策の一環として設置したらしい。
オンラインより安価で販売
地元メディアが報じたところなどによると、西南石油大は成都市郊外にある理工系の大学。HIV検査キットの自動販売機は、飲料やカップラーメンなど他の一般自動販売機コーナーの一角に登場した。
HIV感染の有無を検査する同様のキットは、通常はオンラインショップなどで約300人民元(約4650円)で販売されているが、この大学に登場した自販機での価格は30人民元(約465円)で、10分の1という安価だ。慈善団体の補助金が充てられているため、この価格が実現しているという。
キットを使用して尿を採取し、研究機関に送付。結果はオンライン上で確認する仕組み。プライバシー保護の観点から、尿の送付は匿名で行うことができるという。
性教育の充実求める声も
中国の保健当局のまとめでは、2015年の中国国内のHIV感染者のうち、15~24歳の感染者は5年前に比べ約35%増えるなど、若者のHIV感染者増が顕著だ。
一方、中国の感染者は四川省、雲南省、広西省の南西部3省で全体の約半数と突出して多く、保健当局は南西部の若者の感染拡大対策に力を入れており、今回の西南石油大での自販機設置となった。感染防止のほか、早期発見によるエイズ発症予防になれば、と関係者は期待しているという。
しかし一方で、中国では男性同士の性行為の増加や、避妊具の不使用など若者の知識不足が問題になっており、感染拡大は中国での性教育の不備が原因だとして性教育の充実を訴える声も多い。また、感染者に対する差別が根強いことが感染拡大が遅れる一因になっているとの指摘もあり、まだまだ課題は多そうだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿