2016/12/19 19:43
国際
米製薬大手メルクの日本法人であるMSDは19日、がん免疫薬の「キイトルーダ」について、条件付きで一定期間患者に無償提供すると発表した。薬価が決まるまで患者が使えない状況に対応するため。患者の要望に応えるとともに、医療現場で早く浸透させる狙いがあるとみられる。
キイトルーダは小野薬品工業が売る「オプジーボ」の類似薬。がん細胞が免疫の攻撃を逃れる仕組みを解除し、がんを治療する。9月に皮膚がんの一種である悪性黒色腫に対して厚生労働省から承認を得たのに続き、19日付で肺がんについても認められた。
無償提供の対象は肺がん患者のうち、最初の抗がん剤としてキイトルーダの使用が可能な患者。臨床試験に参加していた医療機関のうち、市販後調査などに協力できる所に無償提供を限定する。使用の可否は事前検査で判断される。期間は薬価が決定するまでとしている。2017年2月にも薬価が決まる見通し。
抗がん剤などの無償提供を行う例はあるが、新薬は薬価が決まってから売るのが一般的。日本肺癌学会と患者団体が肺がんの最初の抗がん剤としてキイトルーダを使えるよう、早期承認の要望書を厚労省に出していた。
オプジーボを売る小野薬品とその提携企業の米ブリストル・マイヤーズスクイブは、キイトルーダがオプジーボの特許を侵害しているとして、日米欧の各国でライセンス料の支払いを求めて提訴している。
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