https://www.google.co.jp/amp/www.zaikei.co.jp/amp/article/20171226/418034.html
セラミックスといえば高温焼結された無機化合物のことであるが、これが、ヒビが入っても自己治癒するという。物質・材料研究機構、横浜国立大学、科学技術振興機構が共同開発したものだ。なお、自己治癒するといっても常温でではない。1,000度の環境においてである。ただし、航空機エンジンが作動する温度がそのくらいであるので、これで実用になるのである。
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自己治癒セラミックスそのものはこんにち発見されたものではない。最初に発見されたのは、1995年、横浜国立大学の研究によってである。以来20余年、航空機用の軽量素材として着目されてきたのだが、二つ問題点があった。治癒の仕組みが未解明である、ということと、1,200度から1,300度の高温がないと機能を生じないことである。
従来の自己治癒セラミックスは、1,000度の場合、治癒まで1,000時間が必要であった。実用上は話にならない必要時間である。これが、新しく開発されたものでは、最速で1分間まで短縮されたという。
この治癒がどのように生じるかであるが、なんと、人間の骨が治癒する過程と流れは同じであるという。つまり、炎症を生じ(酸素と炭化ケイ素が反応し、二酸化ケイ素が合成される)、修復し(アルミナと二酸化ケイ素が反応し、亀裂を充填する)、そして組織を改変する(結晶化が生じる)ことで治癒するのである。
それが分かったことで開発も進んだ。つまり、骨の治癒する過程をヒントにして、セラミックスの治癒を促進する物質を結晶の境目に配置したことによって、1,000度1分の復元を実現する、新しい自己治癒セラミックスを開発したのである。
今後の目標としては、さらに高い自己治癒力を持つ「割れても壊れないセラミックス」の開発を目指すという。
なお、研究の成果については、Scientific Reports誌のオンライン版に掲載されている。(藤沢文太)
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