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2017年03月30日
あちこちから桜の便りが届くようになり、すっかり春めいてきました。就職や転勤で心機一転という方も多いかと思います。
この時期に会社などで必ず行われる行事に「健康診断」がありますね。40歳を過ぎたくらいから、「高血圧ですね。再検査しましょう」と言われる人が増えてくるものです。
ほとんどの人は自覚がないので、高血圧だと指摘されると「え、オレが高血圧?」と驚き、うろたえるものです。
高血圧がよくないと言われている理由
高血圧がなぜよくないと言われているのか、知っていますか? 高血圧は「脳溢血」を引き起こす要因とされていたからです。
確かに戦後の日本にとって、脳溢血は死に至る恐ろしい病気でした。栄養状態が悪く、血管がもろかったため、高い血圧に耐えられず出血を起こしやすかったからです。
しかし、その常識は実は時代遅れのものです。
現代では、脳溢血は激減しています。栄養状態が改善されて細胞の膜が丈夫になり、血管も強くなりました。もろく破れやすい血管は、過去のものとなっているのです。
それにもかかわらず、過去のイメージだけが根強く残っており、多くの医師は「高血圧は降圧剤で下げる」という戦後から延々と続く治療を続けています。なぜなら日本の医師免許は、一度取ったら更新する必要がないからです。最新の医学を勉強しなくとも、誰も咎めはしません。
さらにここに、商業が絡んでくるから厄介なことになります。
あなたの血圧が、現在では高血圧とされる150だったとしましょう。その数値は、20年前なら「正常」だったと言うと驚くでしょうか? 多くの人は、「高血圧」と言われて初めて数値を気にするようになります。以前の基準値がどうだったかは知りません。そこがねらい目なのです。トリックがあるのです。
ズバリ、高血圧症の犯人は「基準値」です。高血圧症の判断となる基準値は、2000年までは実質、収縮期(上)が180mmHgでした。つまり170台の人でも「正常」であるとされていたのです。ところが驚くことに、2008年までのわずか8年の間に基準値が50下げられて、130mmHgになったのです(特定健診・特定保健指導)。
その結果、何が起こったのか? 高血圧症と診断される患者が激増し、降圧剤の年間売上高は2000億円から1兆円以上に急増しました。今や降圧剤は巨大産業です。「やっぱり降圧剤は効かなかった」と言われると、困る人がたくさんいるのです。
血圧の基準値が、いかに恣意的なものであるかを証明するエピソードがあります。2014年、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会は高血圧に関する新基準を発表しました。それは、健康診断時の高血圧判定基準が、「上147mmHg、下94mmHg」という従来の目安より大幅に緩和された数値でした。
人間ドック学会の主張の根拠は、「これまでに人間ドックを受診した150万人のデータを統計的に分析した結果、上147mmHg、下94mmHgの範囲内の人の95%が健康であった」というものです。
ところが、日本高血圧学会がこれに猛反発したのです(日本高血圧学会は「高血圧治療ガイドライン」という冊子を発行し、実質的に高血圧の基準値を決めている、大学の医療研究者が委員を務める組織です)。基準値が勝手に引き下げられては、多くの「お客様」を失うことになります。医療機関や製薬会社にとっては大損失なのです。
血圧を薬で下げると脳梗塞のリスクが高まる
問題はそれだけではありません。血圧を下げる降圧剤は、あまり意味がないだけではなく、脳溢血に代わって日本人に増えてきた「脳梗塞」のリスクを高める作用があるとわかってきたのです。
かくいう私も、かつては「高血圧には降圧剤を処方するのが当然」だと思っていました。
しかし降圧剤を投与されているのに、脳梗塞を起こす患者さんがたびたびいることに私は気が付きました。
降圧剤を飲んでいた「のに」、脳梗塞が起こったのではなく、降圧剤を飲んでいた「から」、脳梗塞が起こったのではないか? 私は疑念を持つようになりました。
それを裏付ける研究が発表されたのは2006年のことです。東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一氏は、福島県の住民4万人を対象にした研究で、「血圧を薬で下げている人は、薬を使わない人より脳梗塞が2倍になる」というデータを発表したのです。
脳梗塞とは、血栓(小さな血の塊)によって脳の血管が詰まる病気です。血管が詰まりかけると、心臓はポンプの圧力を上げて、血の塊を吹き飛ばそうとします。血圧を上げることで、脳を守ろうとするのです。「高血圧が脳梗塞の原因」ではなく、「脳梗塞を治すために血圧を上げている」状態なのです。
血流が弱いと、詰まった血栓を取り除くことができません。つまり血圧を下げる薬を飲むことは逆効果であり、命を危険に晒すことだと言えるのです。
医者の言うことはすべて正しいと、患者さんは信じてしまいがちです。しかし中には不勉強な医者や、金儲け主義の医者がいることも事実です。生活習慣を改めたり、ストレスを取り除く努力をしたりせず、安易に薬に頼ろうとする患者さんにも問題はあると思います。
健康なのに薬の服用を勧められたら、疑ってみる勇気も必要なのです。
「正しい血圧の測り方」を知る
とはいえ、健康診断で「再検査が必要です」と言われたら逆らえないのがサラリーマンの悲しい性ですよね。そうならないために、正しい血圧の測り方を伝授しましょう。
① 必ず10分ほど安静にした後で測る
肉体労働をした直後に血圧を測ると高い数値が出てしまいます。それだけではありません。健康診断の会場まで長い距離を歩いたり、階段を駆け上がったりしただけでも血圧は上がります。十分に身体を休めてから測りましょう。
肉体労働をした直後に血圧を測ると高い数値が出てしまいます。それだけではありません。健康診断の会場まで長い距離を歩いたり、階段を駆け上がったりしただけでも血圧は上がります。十分に身体を休めてから測りましょう。
② 心が安定している状態で測る
ドキドキしたり、悲しんだり、イライラしているときでなく、リラックスしているときに測ってください。慌てたり、焦ったりしても血圧は上がります。ストレスは血圧にてきめんに影響するのです。
ドキドキしたり、悲しんだり、イライラしているときでなく、リラックスしているときに測ってください。慌てたり、焦ったりしても血圧は上がります。ストレスは血圧にてきめんに影響するのです。
③ 椅子に座って測る
椅子に座って心臓と同じ高さに血圧計を置いて測ってください。健康診断などでは立ったまま測ることがありますが、座って測る血圧のほうが正しいと覚えておいてください。
椅子に座って心臓と同じ高さに血圧計を置いて測ってください。健康診断などでは立ったまま測ることがありますが、座って測る血圧のほうが正しいと覚えておいてください。
④ 右腕を十分まくって測る
左腕だと心臓から近いため血圧が少し高く出てしまいます。服の上から測ると熱が十分伝わりません。きちんと腕まくりするか、上着を脱いでから、右腕で測ってください。
左腕だと心臓から近いため血圧が少し高く出てしまいます。服の上から測ると熱が十分伝わりません。きちんと腕まくりするか、上着を脱いでから、右腕で測ってください。
ここで述べた私の意見はちょっと過激に聞こえるかもしれませんが、すべて医学的な裏付けのあることです。商業主義に翻弄されて、日本の医療はおかしなことになっているのです。
問題の本質を見極め、真に健康な生活を送るための知恵を、『やってはいけない高血圧治療 ドクター歴48年のベテラン医師が告発する薬漬け医療の闇』(KADOKAWA)という著書にまとめました。健康診断で言われたことを鵜呑みにして、安易に薬を服用する前に読んでみてください。
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