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「①コーヒー」「②お茶(紅茶や緑茶)」「③ソフトドリンク類」のうち、あなたが1日で飲む頻度の高い飲みものはどれだろうか?
①か②と答えた方は、それを「ホット」または「アイス」のどちらで飲んでいるだろうか?さらにそれらのうち、あなたの好みは「カフェイン入り」と「(カフェインを取り除いた)デカフェ」に分けた場合はどちらだろうか?
そんな各人の日常的な嗜好ドリンクの種類や飲み方、その頻度などから、中高年の代表的な眼の疾患として知られる「緑内障」リスクの関連を探ろうという小規模研究の報告が、昨年末、『British Journal of Ophthalmology』(12月14日オンライン版)に載った。
もっと「眼」を知ろう!
この研究は米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のAnne Coleman氏が実施したもの。分析に際しては、同国の疾病対策センター下の国立健康統計センターが定期的に行なっている、米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて検討した。
「40歳以上の男女データ」を抽出した理由は、加齢に伴う眼の変化が起こり始めるのが40歳前後だからだろう。たとえば、緑内障の場合、米国眼科学会(AAO)のあげるリスク因子は下記の6項目だが、その筆頭が「年齢」だ。
【1】40歳以上
【2】アフリカ系/アジア系/ヒスパニック系のルーツがある。
【3】眼科検診で眼圧上昇を指摘された経験をもつ。
【4】近視ないしは遠視である。
【5】眼外傷あるいは眼球損傷の既住がある。
【6】角膜中心部が菲薄化している。
なお、今回の研究の基準を満たしている40歳以上の男女データは1678人分あった(そのうち5.1%にあたる84人に緑内障が認められた)。彼ら全員の年齢/性別/民族/BMI/喫煙習慣/糖尿病の有無などを調整した上で解析した結果はこうだった。
毎日、温かいお茶を(1杯以上)飲む習慣をもつ人々の場合、そういう習慣をもたない層と比べて「緑内障リスクが74%も低い」との統計的事実が判明した。
ただし、リスク低減効果をもたらすお茶の種類が「紅茶か緑茶か?」という点に関しては参照データ自体からは判別できないため、その点は考慮されていない。
また、お茶を好んで毎日飲んでいても「冷たいお茶」や「デカフェのお茶」である嗜好層の場合は、緑内障リスクの低下が認められなかった。同じく「コーヒー」や「ソフトドリンク」を日々愛飲している層についても、緑内障リスクとの間には何らの関連も読み取れなったそうだ。
人生100年時代の「一生の学習道具」を自己管理
古今東西でリラックス効果が謳われてきた「お茶」は、世界消費量でも「水」に次いで2位に君臨する飲みものだ。その種類も1500以上を数えるという。
とりわけお茶に多く含まれる「カテキン(渋み成分)」は、がんや高血圧、心臓病の予防効果をはじめ、全般的な死亡リスク低減につながる「ポリフェノール(複数の水酸基が結合した芳香族化合物の総称)」として知られている。
研究を実施したColeman氏らによれば、お茶には「抗炎症作用」や「抗酸化作用」をもつ成分が含まれているとされている。しかし、研究陣の見解は現時点では慎重さを欠いていない。
「緑内障リスクへの低減効果については、温かいお茶を日常的に飲むということ以外の生活習慣が影響している可能性も否定はできない。要は今後もより大規模な研究調査を行ない、徹底検証する必要があるのはいうまでもない」
加えてColeman氏は「緑内障の予防には、すでに有効性が証明されている対策をとるべきである」と強調する。たとえば、加齢(老化)の影響から眼を守るため、自衛策として覚えておくべきポイントとして、前掲のAAOが推奨しているのは次の5点だ。
【1】包括的な眼検診(40歳を過ぎたら54歳までは2~4年ごとが理想的)
【2】家族歴を把握する(緑内障の家族歴があれば発症リスクは4~9倍にも)
【1】眼に良い食事を摂る(濃緑色野菜や柑橘系果物、冷水魚など)
【1】禁煙(あえて説明いらずだろう)
【1】自己数値の管理(視力喪失リスクに影響する血圧・血糖・脂質などに注意)
「お子さんの眼は、もっとも大切な学習道具です!」とは、新学期を控えて必需品調達に奔走する保護者に向けて、AAOが「眼の健康管理」を呼びかけた卓見の弁である。
いまや人生100年時代が構想され、生涯学習が謳われる現代――。高齢者になっても、眼の健康こそが「大切な学習道具」に変わりはない。「毎日1杯、温かいお茶を飲む」という習慣を、今日からでも取り入れてみてはいかがだろう。
(文=編集部)
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