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【ワシントン=塩原永久】米半導体大手インテルは23日、西部アリゾナ州に2つの半導体工場を新設すると発表した。投資額は計200億ドル(約2兆1700億円)。デジタル化による需要の高まりを見込み、生産能力を増強する。バイデン米政権が製造業の国内回帰に取り組む中、台湾積体電路製造(TSMC)や韓国サムスン電子などのアジア勢から主導権を取り戻す動きにつながりそうだ。 世界的な半導体不足が深刻化しており、外国に過度に依存するサプライチェーン(調達・供給網)を問題視する見方がある。レモンド米商務長官は声明で、インテルの投資は「米国の技術革新と指導力を維持し、経済・国家安全保障を強化するものだ」と歓迎した。 米メディアによると、インテルはアリゾナ州の新工場で最先端半導体の製造を2024年に開始する。新規雇用は3千人程度を見込む。自社製品の生産のほか、他社からの受託生産も手がける方向だ。 ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、「バイデン政権と協力できることは喜ばしい」と述べた。 さらにインテルは年内に新たに米国と欧州で生産拡大を発表することを明らかにした。欧州連合(EU)も域内の生産比率を高め、自力調達を進める方針だ。 米半導体メーカーの生産能力は1990年の37%から12%に低下。インテルをはじめ米メーカーが、TSMCなどへ生産の外部委託を進めたためだ。 一方、半導体のサプライチェーン強化を目指す米政府に加え、議会も国内投資を促す米半導体業界の振興法案を検討している。インテルの米工場新設は、こうした動きに歩調を合わせた製造業の国内回帰を加速させる可能性がある。
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