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目次
■話のネタにはなるが、明確なメリットが感じられないのが残念
レクサスESには最新の日本製高級車らしく多数の先進安全装備が搭載されています。後篇はこれらの機能と実際に試した印象を紹介していきましょう。
●高速の風切り音低減が一番印象的
トップグレードのみのオプションながら、量販車として世界で初めて搭載された「デジタルアウターミラー」を最初に紹介します。通常のドアミラーの代わりに、小型のカメラが突出していて、それらが捉えた映像がダッシュボード左右端の5インチ・ディスプレーに出力される仕組みです。
もう何十年も昔から、このような「電子式ドアミラー」はコンセプトカーに搭載されてきました。主なメリットは、自動車の側面から大きな鏡を排除して、よりスタイリッシュなクルマが作れるのではないかということと、空気抵抗の低減です。実用性を気にしないレーシングカーでは、極端にドアミラーを小さくしたマシーンも数多く登場しました。
スタイリッシュという観点では、カタツムリの触覚のようなレクサスESのカメラはそれほど効果を発揮してはいないかもしれません。「何だこれは」という視線を町中で感じることはありましたが。いっぽう、最も効果を体感できたのは、実は高速道路巡航中の風切り音の小ささでした。速度が上がるほど高まるはずの風切り音を、ドアミラーの位置から意識することが非常に少なかったです。
ただし、この試乗車に限ってのことかもしれませんが、デジタルアウターミラーの静音化を意識するような速度域では、サンルーフ周辺からの空気吸出し音の大きさがかえって気になりました。
後方確認装置としての扱いやすさについては、最初のうち、鏡と違って結像する点が手前にあるので、前方から画面に視線を移したときにピントが合いにくいと思いましたが、数百km運転するうちにこれに関しては慣れの問題だと思いました。
昼間の眩しいとき、夜の暗いとき、降雨時とも経験しましたが、外界の変化により極端に映りにくくなることもありません。しいていえば、街中のLED照明がすべて点滅して見えるため、後ろに赤信号が連続するようなシーンでは、まるで多数のパトカーに追いかけられているように思えることがあります。
後方の像がミラーではなくモニターに表示されることを利用して、ウィンカー操作に連動して像を広角化したり、駐車時に安全ゾーンを映し出したりして、安全性を高められるというのもレクサスの主張です。「カメラで映し出した映像が、従来と同じように自然な距離感で表示されるように、幾度となく調整を繰り返しました」とカタログに記されるように、ドアミラーに慣れた人でも違和感なく運転できるようにするのはさぞ大変だったことでしょう。
将来的に自動車の形さえも変えてしまうような技術を、厳しい法規制をクリアして市場投入したことはたいへん価値があると思いますし、話のネタにもなるのは間違いありません。ただ、装着による空気抵抗低減が燃費の低減や、最高速・加速力のアップに数字として現れるほど顕著なわけではないし、内外装のビジュアル面での効果も明白ではないので、敢えて21.6万円(税込)の費用を投じるに相応しいかというと、現段階ではなかなか難しいかな、と思いました。
●先進安全装備充実、自動運転支援はそこそこ
このほかの先進装備では、安全性向上に資するものはいずれもレベルが高く、最新型車を走らせるメリットを強く感じました。
ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた歩行者・自転車運転者検知機能付衝突回避支援タイプの「プリクラッシュセーフティ」は、なかなか高い確率で歩行者や自転車を検出、あるいは前方に停止車両がある場合に警報やブレーキのサポートをしてくれます。
停止から高速まで先行車を認識して追従してくれる「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」は、巡航中だけでなく停止・発進を繰り返す渋滞時にも威力を発揮してくれました。
クルーズコントロールを使っていない街中でも、「先行車発進告知機能」はブザーとディスプレーで発進を促してくれて、同乗者とのおしゃべりに夢中になっていてもすぐ我に返らせてくれます。
単眼カメラが認識した「最高速度」「はみ出し通行禁止」「車両進入禁止」「一時停止」の道路標識を、マルチインフォメーションディスプレイに表示してくれる「ロードサインアシスト」も、かなり精度に優れ、非常に実用性が高いと思いました。
一方、自動運転支援についてはいま少しの充実を望みたいと思いました。
レーダークルーズコントロールの使用時に、車線維持に必要なステアリング操作支援を行うという「レーントレーシングアシスト(LTA)」は、自動的な操舵トルクが少なく、積極的にアシストしようという感じがあまりありませんでした。都市高速のカーブではほとんど追従してくれず、先行車がいる高速道路でかろうじて追従してくれる程度。ないよりはいいか、という感じでした。
このほか、低速走行時に壁など静止物までの距離を教えてくれたり、後退で出庫する際に接近する車両、歩行者の存在を知らせてくれ、必要に応じてブレーキもかけてくれる「パーキングサポートブレーキ」、確認しにくい後側方エリアの車両を検知する「ブラインドスポットモニター」などが搭載されています。
(花嶋言成)
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