2022年12月1日木曜日

ソーラーパネル+WiFiの電波を受信してバッテリーを充電する研究。2022年現在、既に実用化しております。 水さえあれば、水1Lで500Km走るEVバイクの研究など。

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山根博士の海外モバイル通信 第583回

Wi-Fi充電できるサムスンのTVリモコン、モバイル機器への応用に期待

2022年02月09日 10時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

ついにWi-Fiで充電できるリモコンが登場

 スマートフォンやTV、家電など様々な製品を次々と送り出しているサムスンですが、地球環境を考えたエコな製品も地道に開発しています。その筆頭に挙げられるのが同社のTV用リモコンです。TVのリモコンといえば単4電池2本を入れて使うものが一般的。リモコンでの電力消費量は少ないとはいえ、1年くらいで交換するケースが多いでしょう。わずか2本の電池ですが、それが積もり積もればかなりの量になります。サムスンによるとリモコンの電池の消費量は7年間で9億9000万個になるとのことです。

 そこでサムスンはTVリモコンのエコ化を進めています。ボディーをリサイクル素材にするだけではなく、2021年に登場した「SolarCell Remote」では太陽電池を埋め込み、太陽光で充電できるようにしているのです。またリモコン内には乾電池はもちろんのことリチウムイオンバッテリーも搭載せず、コンデンサーを内蔵しそこに電力を貯蔵します。

サムスンのTVリモコンのエコへの取り組み

 そして2022年にはそのSolarCell Remoteがさらに進化し、太陽電池に加えWi-Fiルーターからの微弱電波を使って充電も可能になりました。今やどの家庭にもWi-Fiルーターは設置されています。SolarCell Remoteの2022年モデルは最大40メートル離れた場所にあるWi-Fiルーターからの電波を受け、リモコンを充電できるとのこと。

2022年のTVに付属するリモコンはWi-Fiルーターから充電できる

 Wi-Fiで充電できるということは、TVリモコン以外への応用展開も十分可能なことを意味します。たとえばスマートホーム用の家庭内のセンサーにこの技術を応用することは可能でしょう。室温計や湿度計、騒音計、照度計といったセンサーはボタン電池を入れて壁などに固定しますが、1年も使っていると電池切れになってしまうものです。そのたびに電池を交換するのも面倒ですし、当然のことながら交換した電池は廃棄物になります。しかし、Wi-Fiルーターからの微弱電波で内蔵コンデンサーが充電できるならそれらの心配はなくなります。

スマートホームのセンサーにも応用できそう

 またスマートフォン用の充電式スタイラスペンにも使えるかもしれません。スマートフォンのアクセサリーで消費電力の弱いものならこの技術は使えそうです。サムスンのスマートフォン向けスタイラス「Sペン」は、手書きには充電不要ですが、リモコン機能を使うときは充電が必要です。本体に内蔵できるSペンは本体から充電できますが、Galaxy S21 UltraやGalaxy Z Fold3 5G用のペンは内蔵できませんから、Wi-Fi充電ができれば便利になりそう。

本体に内蔵できないSペンもWi-Fi充電対応になれば使い勝手は高まる

 ほかにも位置情報タグのAirTagなども、屋外でも飛んでいるWi-Fi電波が利用できればバッテリーレスな製品ができるかもしれません。UWBを使うモデルは電力的に厳しそうですが、Bluetoothの位置情報タグなら実現できるかもしれませんね。今は身近なTVのリモコンに応用されたこの技術、サムスンの豊富な製品に今後展開されることも期待したいものです。

Bluetooth版の位置情報タグ「Galaxy Tag」も電池不要になるかもしれない

山根博士のオフィシャルサイト


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Wi-Fiで電子機器への充電方法を考案 シンガポール・日本のチーム

シンガポールと日本の国際チームは、WiFi信号を利用してエネルギーに変換し、その過程で発光ダイオード(LED)などの小型電子機器に電気を供給する方法を考案した。

AsianScientist ― WiFiはインターネットへの接続方法として知られているが、シンガポールと日本の研究者らは、WiFi信号を利用すれば小型電子デバイスにワイヤレスで電気を供給することも可能であることを発見した。バッテリーは必要ない!  この研究成果はNature Communicationsに掲載された。

近所のカフェに行ったり、友達の家に行ったりすると、まずWiFiに接続する。世界中の何百万人(数十億ではないにしても)の人々がデバイスをワイヤレスでインターネットに接続し、特にリモートワークが増加している中、WiFiが不可欠なサービスであることは間違いない。

通常、WiFiルーターは、2.4GHzや5GHzなどの無線周波数を使用して、デバイス間でデータをワイヤレスで送信する。しかしながら、これらの周波数がインターネットへのアクセスに使用されていない場合、余分な信号は無駄になる。

シンガポール国立大学(NUS)と日本の東北大学の研究チームは、周囲のWiFi信号を有効活用することを目指して、無線無線周波数を利用してエネルギーに変換し、小型電子機器に電気を供給する技術を開発した。

研究チームが取った方法は、マイクロ波を生成し検出できるスピントルク発振器(STO)と呼ばれる小さなスマートデバイスに依存している。興味深いことに、電子レンジとWiFiはどちらも同じ2.4 GHz周波数で作動する。このことから、電子レンジで調理するとWiFi接続に干渉することがある理由が説明される。

研究チームは、8つの発振器を直列に配置した後、2.4 GHzのWiFi信号をコンデンサを充電できる直流電圧に変換できることを発見した。コンデンサをわずか5秒間充電することで、WiFiがオフになった後でも、デバイスは1.6ボルトのLEDに1分間電気を供給することができた。

著者らは、発振器を直列または並列に配置すると、マイクロ波信号を送る能力に影響を与える可能性があるかどうかを評価した。発振器が直列に接続されている場合、各発振器の電圧は異なる。逆に、並列に接続されていれば、すべての発振器に同じ電圧が存在する。著者らは、並列接続の方が安定しており、無線伝送に適していることを発見した。

さらに踏み込んで、著者らは、配列内の発振器の増加と環境発電能力の高まりの関係について調べようとしている。加えて、環境発電機が他の電子デバイスやセンサーをワイヤレスで充電できるか否かについて近いうちに試験するつもりである。これにより、自給自足のスマートシステムへの道が開かれる。

「私たちの最新の研究結果は、容易に利用可能な2.4GHz電波を環境に優しいエネルギー源に変えるための一歩です。これにより、私たちがいつも使用する電子機器に電気を供給するバッテリーの必要性を減らします」

「スマートホームやスマートシティの出現と共に、私たちの研究は、通信、コンピューティング、ニューロモルフィックシステムにおけるエネルギー効率の高いアプリケーションを生み出すことができるでしょう」

NUSのプロジェクトリーダーであるヤン・ヒュンソー(Yang Hyunsoo)教授はこのように話している。

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