2020年01月レポート
2019年12月に行った、ハイエンドモデルを揃えての聴き比べフリー試聴会「2019年 冬 最新プリメインアンプの祭典」にご参加いただいたお客様より試聴レポートが届きましたのでご紹介いたします。
なお、掲載内容は実際にお聞きいただいたお客様個人の印象でありまして全てを保証するものではありません。
試聴レポート ~お客様より~2020年01月
ー 内容 -
2019年秋より、デノン、アキュフェーズ、トライオード、マークレビンソンから、高級プリメインアンプが発売された。 各々に共通することは、S/Nの高さで、背景が非常に静かということだ。 又、各々、音の分離、分解性に優れ、基本的性能は、各社十分持っていると思う。
違いは、音が太いか繊細か・静かかエネルギー感あふれるか・個別の音を際立たせるか ・全体と調和させるか、等の各社の音の再生に対する思考の反映である様に思う。
今回、試聴に当たって使用したCDプレーヤーはデノンで、基礎的能力は相当高く、 分解性やエネルギー感も過不足なく兼ね備えていると思う。
使用スピーカーは、B&W 805D3に限定しての試聴な為、 プリメイン各社の音色にあったスピーカーを選んでいない。
組み合わせの妙で、素晴らしい世界が広がるのがオーディオの世界なので、 レポートはあくまで参考と思ってください。
ちょっと聴きでは、デノンは、太い音でエネルギー感に溢れ、 アキュフェーズは、今まで色彩の無い世界から桜が満開に咲いた様、 トライオードは、真空管特有の厚みのある音、 マークレビンソンは、深い森の中から響いてくる音の様に感ずる。
ー 使用機材 ー
◦CDプレーヤー DENON DCD-SX1-LIMITED ¥750,000
DENONサウンドマネージャー山内慎一氏監修。 コンデンサーを初め400超のパーツを見直し、 筐体を超ジュラルミン化。ドライブメカの防振対策。デジタル信号をアナログ信号に近づける補正回路の進化。クロックの精度UP。 コンバーターのLR分離を実施。
◦プリメインアンプ DENON PMA-SX1-LIMITED ¥780,000
カスタムコンデンサー等の採用。筐体を超ジュラルミン化。全段バランス回路。 UHC-MOSFETによるシングルプッシュアンプ
◦Accuphase E-800 ¥980,000
C-3850で培ったAAVAボリューム採用。プリ用の専用電源回路を持ち、パワー部は入力から出力までバランス伝送。 A-75で使用したMOS-FETを6個採用。ダンピングファクター1000
◦TRIODE MUSASHI ¥580,000
KT150真空管を使用し、AB級プッシュプル出力で、100W+100Wを実現。ダイナミックでパワフルなサウンド。 電源部の充実により、34.5kgの重さ。
◦Mark Levinson N0.5805 ¥850,000
Levinsonとしてはコストダウンに重きを置いたプリメインアンプ。 きわめて、高精度でワイドレンジな音質。本体とPCを接続し、 ソフトのアップデートが可能。
◦スピーカー B&W 805D3 ¥880,000(ペア)
モニター調で繊細だが、音色としては華やかで艶やか。
ー 試聴ソフト ー
平原綾香 「明日」
ロバータガンバリーニ 「イージートゥラブ」
マイルスデイビス 「ソーホワット」
ユンディ 「ショパンノクターン」
ヒラリーハーン 「チャイコフスキー バイオリン協奏曲」
ー 試聴 ー
『 PMA-SX1-LIMITED+B&W 805』
JPOP 音の陰影が深く、一音一音が際立つ。歌の元気さ瑞々しさ、弦の響きが良好。 低音が良く締まっている。音に勢いがあり、太い音と思ったが中庸で自然な感じ。 しっとり感は無いが、メリハリ感とも言えない。
JAZZVOCAL 元気のよい歌声、レンジ感広く、ゴージャスな雰囲気。 低音は良く弾み、各パートの分離良好。中高域の質感良好で、ピアノも実態感ある。
JAZZ 各パートの分離良好で、ジャズの凄み、エネルギー感が十分味わえる。 古いジャズの再生は現代機器では難しいと思っていたが、十分クリヤーで実存感のあるジャズを聴かせる。 マイルスのペットの抜けが良い。
CLASSICPIANO 明るく艶やかで、音に芯がありピアノの実在感を感ずる。 音に歪感が無く、ちょっと硬質な印象。
CLASSICVIOLIN オーケストラの広がりが十分で、ソロバイオリンの大きさやオーケストラとの調和が良く出ている。 各パートの分離良くクリヤー。 バイオリンの音が艶やかで、元気が良いが、楽しませてくれる音と感ずる。
『 Accuphase E-800+B&W 805』
JPOP 声に落ち着きがあり、ほんのり色気が乗る様。上品で格調高い音。 レンジ感が広く、スピーカーが作る空間が広がる。チェロに存在感がある。 空間の描き方が上手く、声と背景のチェロとのバランスが良好。 平原綾香の声が大人の雰囲気。
JAZZVOCAL 落ち着きがあり格調高い音。 細やかな音の再現性良く、声の表情が良く出る。 優しくはあるが、曖昧ではない。ピアノも実在感ある。 ジャズの乗りの良さも良好。
JAZZ 各音に力強さがあり、古い録音でもリアリティーがある。 目の前で、ペットを吹いている様で、ドラムのシンバル音がリアル。 ベースの低音やテナーの震える感じが良く出る。 CDでも十分楽しめる。低音再生能力に、スピーカー、アンプ共優れる。
CLASSICPIANO ピアノの格調の高さが良く出る。 とても、プリメインアンプとは思えない。 音は澄んで曖昧さが無く、広い空間に響く。 ピアノの余韻や静寂音が良く出る。演奏者の弾いている姿が見える様。
CLASSICVIOLIN オーケストラの広がり感あり、ソロバイオリンの浮き上がり方良好。 音の分離良く、混濁しない。バイオリンの弦の細やかな表現を過不足なく表す。 ステージが見える様。静かな、躍動感を感ずる。
『 TRIODE MUSASHI+B&W 805』
JPOP 音が太く厚みがあり格調高く、明るさや元気さがある。 背景のなかに、声は明瞭に浮かび上がる。分離良く、力強い。
JAZZVOCAL 演奏空間は広い。声は太く、力強い。 低音の再生能力の高さを感じる。ピアノやシンバルのアタック感が心地よい。 音の分離良く、滲む事は無い。空間に対する音像の描き方は明瞭、ジャズに十分乗れる。
JAZZ ベースに厚みがあり、ジャズが力強く描かれる。 音の分離良好。音の力強さは、ジャズにプラス。 空間表現や繊細な表現は少ないが、格調の高さ、バランスの良さは、それぞれ満足できるレベル。
CLASSICPIANO 格調高いピアノの音。力強く表現するが、 クラシックの品格を邪魔するものでは無い。 細部の表現もそこそこで、静かで品の良い表現も感じられる。
CLASSICVIOLIN バイオリンは艶やかで、弦の繊細感も再現する。 低音はちょっとあっさり感ある。 表現は格調高く、音の厚みが存在感を出している。
『Mark Levinson NO.5805+B&W 805』
JPOP 格調高く、穏やかな音。チェロは落ち着いている。 スピーカーが作る演奏空間は普通だが、深み?を感ずる。 声は、やや元気。
JAZZVOCAL 静かで格調高い音。細部の表現に優れる。 ピアノの音は、若干、明るさがのる。低音はあっさりしているが、実存感はある。
JAZZ ボリュームを上げるとジャズの凄みでる。中庸な表現。 ペットは自然で、エネルギー感も感じ、ジャズ喫茶で流れていた古い音に通ずる様。 静かな中にも張りがある。
CLASSICPIANO 音が静けさの中から立ち上がってくる。格調高い。 表現はおとなしめか。B&Wの艶やかさ明るさは、控えめになる様。
CLASSICVIOLIN オーケストラの空間表現は良好、低音のコントロールが良い。 バイオリンが格調高く優しく響くが、つつましやかな雰囲気、どちらかと言えばクラッシック寄り。 音は細やかで、演奏会場で聴いている様な雰囲気。品が良く、凛としている。 高能率で繊細なスピーカーを使い、ボリュームを上げた状態で聴いた方が、本来の良さを感じられそうな印象。
ー まとめ ー
各社のプリメインアンプは、各社なりに相当に力を入れている。 電源の強化や分離、各パーツの純度UP、信号伝送回路の工夫、筐体の振動防止対策等、 ノイズや音を濁らす要因を徹底的に排除している様に思える。 各社共、S/N比は十分確保したうえで、各社の音作りの思想を反映したものと思える。
DENONの音作りは、中庸でエネルギー感にあふれる音、しかも細部の再現性も優れる。
Accuphaseの音作りは、空間表現が広く、繊細で艶やかな音だが、エネルギー感もあり低音の制動もしっかりしている。
TRIODEの音作りは、中庸な音に厚みを持たせ、力強く元気な音である。しかも、音像の再現性が高い。
Mark Levinsonの音作りは、荘厳で落ち着いた雰囲気を醸し出し、一音一音を明確に描いていく。
ここまでくると、どちらが優れるかではなく、視聴者が自らの音楽の嗜好や生活環境を基準として、 アンプを選び、それぞれの性能を生かすスピーカーを選択するのが良いのではないかと思う。
Accuphase はB&Wをモニタースピーカーに選んでいるので相性は良く、 DENON, TRIODEはJBL等の音の太いスピーカーが似合いそうだし、 Mark LevinsonはYAMAHA等の繊細で淡白な表現のスピーカーが合いそうな気がする。
以降は、販売店で試聴者の実際の耳で確かめる事と、 販売員のアドバイスを参照にセレクトしてください。
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