青森県が高価格のブランド米を目指して開発した県産米の新品種「青天の
日本穀物検定協会のコメの食味ランキングで「特A」評価を受けた初めての県産米で、開発から約10年の歳月を経て市場デビューの日を迎えた。県内の店舗では発売を待ちわびた消費者の長い行列ができ、淡い緑色のロゴが印象的な米袋に次々と手を伸ばしていた。今後は、需要の維持・拡大に向けたPRが課題となりそうだ。
青森市浜田の「イトーヨーカドー青森店」では、午前9時の開店前から大勢の人が詰めかけ、店内には150人以上の行列ができた。店内の特設会場では記念イベントが行われ、JA全農あおもりの鳥谷部茂正副本部長が「特A米は全国トップレベルの称号。必ずみなさんに満足していただけると思う」と品質をアピール。その後、「ミス・クリーンライスあおもり」やJA関係者が陳列台から幕を取り除き、真新しいパッケージの青天の霹靂が登場すると、来店客から拍手が起きた。
◆県産が食べたくて
青森市横内の無職の男性(80)は「きっとおいしいと思い、買いに来た。妻と2人で、早速夕飯で食べてみます」と声を弾ませた。同市沖館の無職男性(73)は「普段は他県産のコメを食べているが、地元の特A米が食べたくて朝6時半から並んだ」と話した。
米穀店も青天の霹靂を買い求める客でにぎわった。青森市の「市川米穀・燃料店」では、普段は全くコメが売れない日もあるが、この日だけで150キロの青天の霹靂が売れたという。男性店主は「コメ離れが進む中、信じられない」と驚きの声を上げた。
一方、市内の別の米穀店の男性店長は「この日は100キロを仕入れて50キロが売れた。でも興味本位で一度食べたら終わりじゃないか」と、消費者が継続して購入してくれるか不安そうに語った。
◆県内外へPR課題
全農あおもりも「一瞬の盛り上がりで終わらせてはいけない」(黒滝英樹米穀部長)と、今後の課題に県内外での需要の維持・拡大を挙げる。
この日、イトーヨーカドー青森店では5キロ入りが税込み2570円と、「つがるロマン」より55%割高で販売された。黒滝部長は「高くても味が良いことをわかってもらい、リピーターにつなげたい」と、品質の高さを理解した上で継続的に購入してもらうための戦略が必要と指摘。ブランド米としての地位を確立するには、「全く認知度がない県外からも多くの支持が必要。積極的にPRしたい」と力を込めた。
全農あおもりなどは14日、銀座三越(東京都中央区)で青天の霹靂のイベントを開くなどし、県外でも販売を始める。17日には、三村知事が同所でトップセールスを行い、県外での浸透を図る。
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