2016年02月18日 21時34分00秒
by srgpicker
アメリカ科学振興協会(AAAS)の年次会議で、フレッド・ハッチンソンがん研究センターのスタンリー・リドル医師が免疫反応で重要な働きをするT細胞を用いた、新たながん治療法を発表しました。
Abstract: Engineering T Cells for Safe and Effective Cancer Immunotherapy (2016 AAAS Annual Meeting (February 11-15, 2016))
https://aaas.confex.com/aaas/2016/webprogram/Paper16827.html
Stan Riddell, Fred Hutch cancer immunotherapy innovator, to present at AAAS Annual Meeting | EurekAlert! Science News
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/fhcr-srf020516.php
Treatment saved ~90% of terminal cancer patients, but it has scary side effects | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/02/treatment-saved-90-of-terminal-cancer-patients-but-it-has-scary-side-effects/
人体には、細菌やウイルスに感染した際に排除しようとする免疫機構が備わっています。リドル氏が発表したのは、この免疫機構の中で司令塔的な役割を果たしているT細胞を体から取り出し、リプログラミングして体に戻すという、「T細胞療法」とでも呼べるものです。
これまでも「免疫反応を用いてがんと戦う」というのは有望だと考えられてきた方法でした。
リドル氏は急性リンパ芽球性白血病の患者29人に対してT細胞療法を実施。すると、がんの末期状態にあった患者たちのうち、27人は小康状態を取り戻しました。このほか、事例は少ないながらも、非ホジキンリンパ腫や慢性リンパ球性白血病の患者でも効果が見られました。
しかし、強い副作用も確認されていて、患者の中にはサイトカイン放出症候群によって全身に炎症が出て、集中治療室に入らなければならなくなった人も。前出の、急性リンパ芽球性白血病の患者29人のうち、2人は亡くなっています。
効果は「医者が希望を持つ」というレベルらしいので、副作用の問題を解決できるかが鍵です。
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2016年02月18日 21時34分00秒 in サイエンス, Posted by logc_nt
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