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2016年2月14日日曜日

年金マネー「運用」の真実 〜どう考えてもGPIFの株式投資は無意味である!


2016年02月14日(日)

ドクターZ

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私たちの社会保障は今後どうなる?〔PHOTO〕gettyimages

国が直接投資にこだわる理由

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に、株式への直接投資を認めるかどうかが議論になっている。

GPIFは約32兆円の国内株を持ち、国内市場の7.6%を占める「大投資家」である。これまで、GPIFは外部の金融機関に委託し、株式を取得してきた。だがこれからは、GPIFが株式を直接保有し、企業の株主総会において議決権を持てるようにしよう、というのだ。

GPIFを所管する厚労省は、「外部への委託に比べて運用コストを削減できる」として解禁したがっているが、「国による民間企業支配の恐れがある」という反対意見も強い。

GPIFの運用資産規模は約130兆円。「クジラ」とも呼ばれるこの莫大な年金マネーの運用を許されるためには、GPIFはどう変わる必要があるのか。そもそも、国はなぜ、直接投資にこだわっているのか。

130兆円というGPIFの運用資産規模は、確かに大きい。しかし実は、公的年金のシステムの中におけるGPIFの役割は、決して大きくない。

公的年金における「負債」とは、将来の年金給付額。一方の「資産」は、現在のGPIFの運用資産残高と、将来の保険料収入・国庫負担金の合計である。負債は資産によって賄われるので、当然、この二つの金額は見合うようになっている。

公表されている公的年金のバランスシートから試算すると、負債額は1660兆円。その負債のうちの9割以上は、将来の保険料収入と国庫負担によって賄われる。GPIFの資産運用によって賄われるのは、わずか8%程度である。

つまり、GPIFが運用をいくら頑張っても、ほとんど意味がないのだ。さらにわかりやすく言えば、GPIFが130兆円もの運用資産を持っていること自体が、無意味である。

ファンドマネージャーのための「仕事づくり」か

年金運営の流動性確保などを鑑みても、運用資産は10兆円程度あれば十分だ。仮に資産運用をするとしても、全額国債で運用すればいい。不必要な運用リスクを抱えてまで、民間企業の株式に手を出す必要はない。

ではなぜ、GPIFは「クジラ」にこだわるのか。その背景には、「利権」が絡んでいると考えざるをえない。

まず、GPIFから運用を委託される金融機関だ。外部の金融機関に莫大な運用資産を任せるのは、金融における「大型公共投資」である。運用資産が大きければ大きいほど、GPIFは金融界において存在感を持つことができる。

しかし、あまりにも外部委託運用をし過ぎると、今度はGPIFの中抜き議論になる。外の金融機関に任せるなら、そもそもGPIFはいらないのでは、と言われてしまうというわけだ。

そこで今回、GPIFは直接投資を打ち出したのだろう。今から1年少し前に、GPIFは民間ファンドマネージャーをヘッドハンティングしている。GPIFが中抜きされると、その努力が水の泡になる。GPIFの直接投資は、その人物のための「仕事作り」のにおいがする。

直接投資が年金財政のためになるかどうかは、甚だ疑問である。GPIFを無視し、国が積立金を全額国債で運用すればいいのではないか。




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