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2016年3月6日日曜日

性奴隷の日本女性ロボットが“奉仕”するSF「エクス・マキナ」 スター・ウォ ーズを蹴落としオスカー受賞


スクリーン雑記帖
「エクス・マキナ」には半透明な首や腕、胴などが特徴的な人工知能ロボット(アリシア・ヴィキャンデル)が登場する=「You tube」から1/6枚

 映画界最大の祭典「第88回アカデミー賞授賞式」が日本時間2月29日に米ハリウッドで盛大に開かれた。レオナルド・ディカプリオが悲願の主演男優賞を受賞し、今回も見どころがてんこ盛りだったが、個人的に最も「へえ」と思ったのが、「視覚効果賞」を受賞した日本未公開作のSF「エクス・マキナ(原題)」だ。英国の独立系映画なのに、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「オデッセイ」といった並みいるライバルたちを蹴落として、オスカー像を手に入れた本作。受賞を機に日本公開を望む声も上がっているが、どんな作品なのか。

 映画は、検索エンジン会社で働くプログラマーのケイレブが社内抽選で1等が当たるところから始まる。景品は、社長のネイサンと別荘で1週間過ごすこと。大自然に囲まれた別荘にヘリコプターでやって来たケイレブは、別荘が実は研究施設で、ネイサンが人工知能(AI)の実用化に成功したことを知る。

 本作の主な登場人物は3人。ケイレブとネイサン、そしてAIを持つ女性型ロボットのエバだ。ネイサンの目的は、エバが人間を真似しているのではなく、自身で判断できる真の人工知能があるかをケイレブに判断してもらうことだった。面会しているうちに、ケイレブはエバに心を奪われていく。

 エバを演じたスウェーデン女優、アリシア・ヴィキャンデルが美しく、バレリーナ出身なので身のこなしが柔軟で見ていてほれぼれする。何より首や腕、胴体などが半透明という造形が素晴らしく、特殊撮影技術の進歩にうならされる。低予算な小ぢんまりとした映画だが、だからこそ特撮技術が最大限の効果を発揮している。オスカーを受賞した特撮担当のアンドリュー・ホワイトハーストは壇上で「思いがけない受賞だ」と驚いていたが、本作を評価したアカデミー会員たちは、ハリウッド大作のど派手な特撮に実は飽き飽きとしているのかもしれない。

 ケイレブはエバと逃げる計画を立て、意外な展開になっていく。詳細は避けるが、なかなか皮肉が効いたオチだ。これが初監督作のアレックス・ガーランドは今回のアカデミー賞で脚本賞候補にもなっていた(受賞は逃した)。米タイム誌は2015年の映画トップ10で本作を10位に選んでいる。

 ただ少し気になったのは、ネイサン社長の身の回りの世話をする「キョウコ」という名のもう1人のロボット。明らかに日本人女性がモデルで、献身的にネイサンに“性奉仕”をする姿から外国人の日本人女性像が垣間見え、ちょっと複雑な気持ちになった。(伊藤徳裕)

反応

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