がん細胞の遺伝子の特定領域に異常があると、体の免疫の攻撃力が低下するという仕組みの一端を、京都大や東京大などの共同研究チームが明らかにし、24日付の英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載された。こうしたメカニズムが解明されれば、事前に、がん治療薬の効果が分かりやすくなる可能性があるという。
研究チームは、スーパーコンピューター「京」などで、主要ながん試料など1万例以上の遺伝情報データを解析。肺がんや胃がん、食道がん、大腸がんなどのデータの一部で、遺伝子の特定領域の異常が共通していることが分かった。
この領域に異常があると、「PD-L1」と呼ばれるタンパク質が活発に働き、免疫の攻撃を回避していることも確認したという。
こうした体内の仕組みを持つがん患者には、小野薬品工業(大阪市)のがん治療薬「オプジーボ」(一般名=ニボルマブ)による治療効果が高い可能性があるといい、研究チームは研究を進めていく方針。
オプジーボは薬価が高く、研究チームの小川誠司・京大大学院医学研究科教授(腫瘍生物学)は「オプジーボが効きやすいがん患者が事前に分かれば、治療効果を最大限にし、国の医療費も抑えられる」と話している。
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