猫に腎不全が多い原因を東京大の宮崎徹教授(疾患生命科学)らの研究チームが解明し、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(電子版)に12日発表した。猫の死因のトップは腎不全とされているものの、原因は不明で治療法も確立されていなかった。猫はペットとして飼われる動物としては犬を抜いて最も多く、研究は腎不全の猫の治療や延命に役立つとしている。
腎臓は、血液中の老廃物を尿として排出する役割がある。腎不全はこの機能が働かない状態のことで、尿の通り道となる管内の細胞が死んではがれ、ごみとなって塞いでしまうことが原因となる。猫の場合は5〜6歳で急性の腎不全になることが多く、そのうち5〜7割が改善せずに、慢性腎不全のため15歳程度で死ぬという。
人やマウスでは、急性の腎不全になった場合、血液中に固まって浮遊しているたんぱく質「AIM」が活性化し、ごみの排除に関わって腎機能を改善させるが、猫の場合は、AIMが急性腎不全になっても働かないことを研究チームは発見した。このたんぱく質の働きを利用した薬の開発が進められており、猫だけでなく人への応用も期待される。
宮崎教授は「数年で猫の薬が使えるようになる見込みで、猫の寿命を大幅に延ばせる可能性がある」と話している。【藤野基文】
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