東京大学(東大)は11月29日、石油化学触媒として広く用いられるゼオライトの超高速合成技術の開発に成功したと発表した。
同成果は、東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻 脇原徹准教授、大久保達也教授らの研究グループによるもので、米国科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」に掲載される予定。
ゼオライトは、多孔質アルミノケイ酸塩の総称であり、石油の接触分解やイオン交換材、吸着材、水エタノール分離膜などに用いられるなど、化学工業プロセスにおいて重要な役割を担っている。しかし、工業利用には、一般的に数時間~数日かかる水熱合成が必要となるため、量産の際の大きな課題となっていた。
同研究グループはこれまに、ゼオライトの結晶化操作を適切に行うことで、ゼオライトの高速合成が可能であることを示してきたが、最速でも数分~10分程度の水熱合成時間が必要であった。
今回、合成時間のさらなる短縮を目指し、ゼオライトの一般的な結晶化操作法であるバッチ式水熱合成法ではなく、二液混合型流通合成システムを採用。ゼオライト合成混合液と熱水を直接接触させ、瞬時に合成に適した温度(~300℃)に昇温させることにより、ゼオライトを数秒~10秒で合成させるという装置を開発した。
この技術により、260℃において、工業的に利用価値の高いMFI型ゼオライトをわずか6秒程度で合成可能であることが明らかになった。なお、同じ原料を用いた場合、通常の合成法では結晶化を完了させるのに約12時間かかるという。
同研究グループは今後、さらなる高速化や、ほかのゼオライトへの展開を考えていくとしている。
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