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2017年1月13日金曜日

がんを見つけて破壊するナノ粒子を合成する新たな方法を開発


名古屋大学は、2種類の試薬をアンモニア水に溶解するだけで、がん細胞を物理的・科学的に殺傷する多機能ナノ粒子を作製する方法を開発した。ナノ粒子はがん細胞を光らせ、内包する抗がん剤を放出する。


 名古屋大学は2016年12月17日、2種類の試薬をアンモニア水に溶解するだけで、がん細胞を物理的・科学的に殺傷する多機能ナノ粒子を作製する方法を開発したと発表した。同大学未来材料・システム研究所の林幸壱朗助教授らの研究グループによるもので、成果は同年10月27日、独科学誌「Advanced Functional Materials」のオンライン版に掲載された。

 ナノ粒子は中空構造で、ジスルフィドとシロキサンから形成されるハイブリッド構造となっている。内部に抗がん剤や光増感剤を含有できるため、がんを探し出して発光らせ、がんの場所を教える機能を持つ。

 がん細胞内に侵入すると、細胞内のグルタチオンと反応して自発的に崩壊し、内包する抗がん剤を放出する。ナノ粒子をマウスに静脈内投与した後、患部にレーザーを照射したことろ、ナノ粒子の崩壊が促進されて抗がん剤の放出速度が加速し、ナノ粒子が一重項酸素と熱を発生してがん細胞を物理的に破壊した。

 短期的な副作用は見られず、このナノ粒子を用いることで、がんの種類に関係なく体への負担が小さい治療が可能になるという。今後は、よりヒトに近い動物を用いて治療効果を評価していく。ナノ粒子の機能はがん以外の難病治療にも応用できると考えられ、ナノ粒子を用いた各種疾患の治療にも取り組んでいる。

 近年、ナノ粒子を用いてより多くの抗がん剤を腫瘍に輸送し、治療効果向上と副作用の軽減を狙う試みがなされている。しかし、腫瘍に抗がん剤を輸送するだけでは薬剤耐性を獲得したがん細胞を殺傷できないため、耐性を獲得したがんでも殺傷できる治療法として、物理的にがん細胞にダメージを与えながら抗がん剤を作用させる多機能なナノ粒子を開発した。

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