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2017年1月29日日曜日

「部下の仕事もできる上司」がいると従業員はより幸せになることが判明


By tec_estromberg

「人は『悪い仕事』だから退職するのではなく、『悪い上司』のせいで退職する」という英語のことわざがあるのですが、これを裏付けるような調査結果が公開されており、「もし上司が仕事の専門的スキルを持っていれば、従業員の仕事の満足度は上昇する」ということが明らかになっています。

Boss Competence and Worker Well-Being
https://www.researchgate.net/publication/268491675_Boss_Competence_and_Worker_Well-Being

If Your Boss Could Do Your Job, You’re More Likely to Be Happy at Work
https://hbr.org/2016/12/if-your-boss-could-do-your-job-youre-more-likely-to-be-happy-at-work

「良い上司」の基準として仕事のスタイルやカリスマ性などが挙げられますが、ウィスコンシン大学経済学部のベンジャミン・アルツ博士を含む研究チームは、「もし上司が技術的能力(専門的能力)を持っていると従業員にどのような影響があるか」について調査を行いました。つまり会社の上司はコアビジネスの専門家であるかどうか、どれだけの専門知識を持っているか、ということに着目したわけです。

研究チームは上司の能力を以下の3つの方法で計測しました。

・職場の監督者は、もし必要があれば部下の仕事をこなせるか
・職場の監督者は、昇格するまで同じ会社で働いていた人物か
・職場の監督者は、労働者の1人として評価されるレベルの技術的能力を持っているか


研究チームはこれら3つの基準を用いてアメリカ・イギリスの3万5000カ所の職場の調査を実施。その結果、「企業のメインとなる事業において高い専門的知識を持つ」ような専門知識に長けた上司によってリードされる従業員は、専門知識を持たない上司を持つ従業員に比べ、職場満足度がはるかに高いことが判明したとのこと。「良いマネージャーは技術的専門知識を必要としない」と言われることがありますが、「カリスマ性」や「組織をまとめる力」「部下の感情を理解する能力」に加えて、「技術的スキル」も重要となることを示しています。

さらに、長期間働いている従業員の上司が変わった場合でも、新しい上司が技術的に有能だと、職場満足度が向上するという結果も出ているとのこと。実際に医師経験のないゼネラルマネージャーより医師経験者の上司がいる方が優れた病院であり、アメリカのバスケットボールチームはオールスターゲームの元選手のコーチのいるチームの方が良い成績を残しています。

従来の研究から、職場満足度が向上すると従業員の退職率が低下することがわかっており、「技術的に有能な上司」を据えることで、会社にとって大きな損失となる「有能な従業員」の退職を防ぐことも可能です。ある研究では、ほんの少し職場満足度が向上するだけで、職場の生産性が12%も上昇するということもわかっています。また、職場満足度の高い従業員を多く持つ企業は、将来的に株価が上昇を続けるという研究結果も示されています。

Happiness and Labor Productivity - 6MayOsProtoSgroi2012.pdf
(PDFファイル)http://www.andrewoswald.com/docs/6MayOsProtoSgroi2012.pdf

Does the stock market fully value intangibles? Employee satisfaction and equity prices - Rowe.pdf
(PDFファイル)http://faculty.london.edu/aedmans/Rowe.pdf

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