名古屋大学は2017年1月6日、4Kディスプレイや太陽電池に応用されている最先端技術を用いた量子ドット「ZnS-ZAIS-COOH(ZZC)」を開発し、マウス生体内の移植幹細胞を高感度可視化(イメージング)することに成功したと発表した。細胞毒性を従来の100分の1程度にまで低減し、低コストで量産できることから、多数の幹細胞を標識して追跡する必要がある前臨床試験で利用できると見込んでいる。
幹細胞移植治療の安全性を確保して治療効果を高めるためには、移植幹細胞の生体内動態や集積組織・臓器の正確なイメージングが必要になる。しかし、有機系色素や蛍光タンパク質を用いた蛍光プローブでは、蛍光強度や安定性に課題が残り、高感度にイメージングすることは困難だ。また、従来の量子ドットにはカドミウムなどが含まれるため、幹細胞や生体への毒性が懸念されていた。
今回開発された量子ドットZZCは、カドミウムなどの毒性成分を含まず、細胞毒性を100分の1程度まで低減した。低コストでの大量生産も可能となることから、より安全な幹細胞の標識や、高感度な生体内移植幹細胞のイメージングが可能になるとしている。
同研究は、同大学大学院工学研究科化学・生物工学専攻の馬場嘉信教授らのグループが、同研究科結晶材料工学専攻の鳥本司教授、同大学院医学系研究科医療技術学専攻の石川哲也教授の研究グループらと共同で進めたもの。英科学誌「Scientific Reports」に同日掲載された。
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