インドで2015年に大気汚染が原因で死亡した人の数は110万人で、中国に匹敵する数になり、両国で全世界の大気汚染による死者数の半数を占めたことがわかった。健康影響研究所(HEI)と保健指標評価研究所(IHME)が2月14日、共同調査の報告書を発表した。
HEIのサイト「ステイト・オブ・グローバル・エア」に掲載された新しい報告書によると、この四半世紀で、インドの大気汚染は急速に悪化しているという。
報告書によると1990年から2015年にかけて、インドの大気汚染関連の死亡率は、10万人につき最大14.7ポイント上昇し、50%増となった。
2015年に大気汚染が原因でなくなった人の数は、全世界で420万人以上となった。そのうちインドと中国が52%にあたる220万人を占めた。中国とインドは2015年、大気汚染の死亡者数で並んだが、中国は同年10万人あたりの大気汚染関連の死亡は5.9人で、1990年の13.2人から減少している。
報告書によると、インドの大気汚染による死亡の原因として、大気汚染にさらされる確率が高まり、高齢化が拍車をかけていることが挙げられる。
デリーのような密集した交通渋滞があるインドの大都市の住民にとって、この調査結果は驚くべきことではない。デリー首都圏(州に相当)のアルビンド・ケジリワル州首相は2016年11月、「道路はガス室のようだ」と述べ、国民にマスクを着用し、学校を休校するよう要請した。ワシントンポストによると、大気汚染は主に石炭火力発電所や、木材や肥やしを燃料とする火からの排出によるものだ。
2月11日、大気汚染に包まれたインド東部のブバネスワル市。
インドは、大気汚染レベルでバングラデシュやサウジアラビアといった国々と肩を並べる。ガーディアンは13日、世界中の15都市の大気汚染が極めて深刻で、60分以上運動するとメリットよりも害が大きいと報じた。これらの15都市の半数以上は、インドにある。
中国と異なり、インドは大気汚染に効果的な対策をほとんどとっていない。デリーでは、ナンバープレートの末尾が奇数の車は奇数日だけ運転を許可し、同様に偶数の車には偶数日の運転を認める「奇数・偶数ルール」を導入したが、石炭火力発電所が稼動し続けているため、大気汚染は改善されていない。
報告書では、「パリ協定」の重要性を強調している。パリ協定は2015年12月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択され、「世界的な平均気温の上昇を産業革命前に比べて2度より十分低く保つとともに、1.5度以内に抑える努力すること」を掲げ、すべての国が5年ごとに削減目標を提出・更新する仕組みなどを規定している。インドは2016年に正式加盟し、2030年までに非化石燃料源で電力の40%を生産するという目標を掲げている。
アメリカやヨーロッパなどでは、炭素排出量を制限する取り組みが功を奏し、大気汚染レベルが低下している。
一部の環境専門家は、ドナルド・トランプ大統領の下で、アメリカの地球温暖化対策が停滞する可能性があると懸念している。トランプ大統領は、環境保護庁を解体し、バラク・オバマ前大統領の「クリーン・パワー・プラン」を廃止し、「パリ協定」から脱退すると公約している。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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